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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0574A01: 阿彌陀佛は。一念となふるを一度の往生にあてかひ
J09_0574A02: てをこし給へる本願也。かるかゆへに十念は十度む
J09_0574A03: まるる功德也。一向專修の念佛者になる日よりし
J09_0574A04: て。臨終の時にいたるまて申たる一期の念佛をとり
J09_0574A05: あつめて。一度の往生はかならすする事也
J09_0574A06: 又云。念佛申す機は。むまれつきのままにて申す也
J09_0574A07: さきの世の業によりて。今生の身をはうけたる事な
J09_0574A08: れは。この世にてはえなをしあらためぬ事也。たと
J09_0574A09: へは女人の男子にならはやとおもへとも。今生のう
J09_0574A10: ちには男子とならざるかことし。智者は智者にて申
J09_0574A11: し。愚者は愚者にて申し。慈悲者は慈悲ありて申し。
J09_0574A12: 慳貪者は慳貪なから申す。一切の人みなかくのこと
J09_0574A13: し。されはこそ阿彌陀ほとけは十方衆生とて。ひろ
J09_0574A14: く願をはをこしてましませ
J09_0574A15: 又云。一念十念にて往生すといへはとて。念佛を疎
J09_0574A16: 相に申せは。信が行をさまたぐる也。念念不捨とい
J09_0574A17: へはとて。一念十念を不定におもへは。行が信をさ
J09_0574B18: またぐる也。かるがゆへに信をは一念にむまるとと
J09_0574B19: りて。行をは一形にはけむへし。
J09_0574B20: 又云。一念を不定におもふものは。念念の念佛ごと
J09_0574B21: に不信の念佛になる也。そのゆへは。阿彌陀佛は。
J09_0574B22: 一念に一度の往生をあてをき給へる願なれは。念念
J09_0574B23: ことに往生の業となる也
J09_0574B24:
J09_0574B25: 十二問答
J09_0574B26: 問曰。八宗九宗の外に。淨土宗をたつる事自由の條
J09_0574B27: かなと。餘宗の人の申候をは。いかが申し候へき
J09_0574B28: 答。宗の名たつる事は。佛の説にあらす。みづから
J09_0574B29: 心ざすところの經敎につきて。そのをしゆる義をさ
J09_0574B30: とりきはめて。宗の名をは判する事也。諸宗の習み
J09_0574B31: なもてかくのことし。いま淨土宗の名をたつる事は
J09_0574B32: 淨土の正依の經につきて。往生極樂の義をさとりき
J09_0574B33: はめてをはします先達の。宗の名をはたて給へる也
J09_0574B34: 宗のをこりをしらざるものの。左樣の事を申候也

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