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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0570A01: めくるへき罪を滅して。往生すととかれて候めれは。
J09_0570A02: さほとの罪人だにも。ただ十聲一聲の念佛にて往生
J09_0570A03: はし候へ。まことに佛の本願のちからならては。いか
J09_0570A04: てかさる事候へきともおほえ候。本願むなしからす
J09_0570A05: といふ事は。これにても信じつへくこそ候へ。これは
J09_0570A06: まさしき佛説にて候。佛の御言はは一言もあやまら
J09_0570A07: ずと申候へは。ただあふぎて信すへきにて候。これを
J09_0570A08: うたがはは佛の御そら事と申にもなりぬへく候。か
J09_0570A09: へりては又そのつみも候ひぬへしとこそおぼえ候
J09_0570A10: へ。ふかく信せさせ給ふべく候。さて往生せさせおは
J09_0570A11: しますまじきやうにのみ申きかせまいらする人人の
J09_0570A12: 候らんこそ。返かえすあさましく心くるしく候へ。いか
J09_0570A13: なる智者。めてたき人ひとおほせらるることも。それ
J09_0570A14: になおどろかせおはしまし候そ。をのをののみちに
J09_0570A15: はめてたく貴き人なりとも。さとりことに行ことな
J09_0570A16: る人の申候事は。往生淨土のためには。中なかゆゆし
J09_0570A17: き退縁惡知識とも申ぬへき事ともにて候。只凡夫の
J09_0570B18: はからひをはききいれさせおはしまさで。一すぢに
J09_0570B19: 佛の御ちかひをたのみまいらせおはしますへく候。
J09_0570B20: さとりことなる人の。往生いひさまたげんによりて。
J09_0570B21: 一念もうたがふ心あるへからずといふことはりは。
J09_0570B22: 善導和尚のよくよくこまかにおほせられをきたる事
J09_0570B23: にて候也。たとひおほくのほとけ空の中にみちみち
J09_0570B24: て。ひかりをはなちしたをのべて。惡をつくりたる凡
J09_0570B25: 夫なりとも。一念してかならす往生すといふ事はひ
J09_0570B26: が事ぞ。信ずへからずとの給ふとも。それによりて一
J09_0570B27: 念もうたがふ心あるべからず。そのゆへは。阿彌陀佛
J09_0570B28: のいまた佛になり給はざりしむかし。はしめて道心
J09_0570B29: ををこし給ひし時。われ佛になりたらんに。わが名を
J09_0570B30: となふる事。十聲一聲までせんもの。わが國にむまれ
J09_0570B31: ずは。佛にならじとちかひ給ひたりし。その願むなし
J09_0570B32: からず。すでに佛になり給へり。又釋迦佛この娑婆世
J09_0570B33: 界にいでで。一切衆生のためにかの本願をとき。念佛
J09_0570B34: 往生をすすめ給へり。又六方恒沙の諸佛。この念佛し

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