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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0567A01: き地にふして。よろこぶへしこのたび彌陀の本願に
J09_0567A02: あへる事を。行住坐臥にも報ずへしかのほとけの恩
J09_0567A03: 德を。たのみてもなをたのむべきは乃至十念の詞。
J09_0567A04: 信じてもなを信すへきは必得往生の文なり
J09_0567A05:
J09_0567A06: 越中國光明房へつかはす御返事
J09_0567A07: 一念往生の義は。京中にも粗流布するよしうけ給は
J09_0567A08: るところ也。をよそ言語道斷の事也。まことにほとほ
J09_0567A09: と御問にもをよふへからさる事歟。雙卷經の中には。
J09_0567A10: 乃至一念信心歡喜といひ。又善導和尚の疏には。上一
J09_0567A11: 形を盡し下十聲一聲にいたるまても。さだめて往生
J09_0567A12: する事をうと信して。乃至一念もうたがふ心なかれ
J09_0567A13: といへる。これらの文をあしく料簡するともからの。
J09_0567A14: かかる大邪見に住して申候ところ也。乃至といひ下
J09_0567A15: 至といへるは。上一形をつくすをかねたる詞也。しか
J09_0567A16: るをこのころの愚癡無智のともがらの。おほく偏に
J09_0567A17: 十念一念なりと執して。上盡一形をすつる條。無慚無
J09_0567B18: 愧の事也。まことに十念一念まてもほとけの大悲本願
J09_0567B19: なをかならす引接し給ふ無上の功德なりと信じて。
J09_0567B20: 一期不退に行ずへき也。文證おほしといへともこれ
J09_0567B21: を出すにをよはす不足言の事也。ここにかの邪見の
J09_0567B22: 人。この難をうけて答ていはく。わがいふところも。
J09_0567B23: 信を一念にとりて念すへき也。しかりといひて又念
J09_0567B24: 佛すへからすとはいはずと云云。ことばは尋常なるに
J09_0567B25: 似たれども。心は邪見をはなれず。しかるゆへは决定
J09_0567B26: の信心をもて一念してのちは。又念せすといふとも。
J09_0567B27: 十惡五逆なをさはりをなさす。いはんや餘の小罪を
J09_0567B28: やと信すへき也といふ。このおもひに住せんものは。
J09_0567B29: たとひ多念すといふとも。あにほとけの御意にかな
J09_0567B30: はんや。いづれの經論いかなる人師の説そや。これひ
J09_0567B31: とへに懈怠無道心のいたり不當不善のたぐひの。ほ
J09_0567B32: しきままに惡をつくらんとおもひていひ出せる事な
J09_0567B33: り。又念せすはその惡かの勝因をさへて。むしろ三途
J09_0567B34: におちさらんや。かの一生造惡のものの。臨終に十念

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