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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0559A01: ほとけの名號を稱念する。これを念佛とは申也。か
J09_0559A02: るかゆへに稱我名號とはいふ也。念佛の外の一切の
J09_0559A03: 行は。これ彌陀の本願にあらざるかゆへに。たとひ
J09_0559A04: めてたき行なりといへとも。念佛にはをよはさる也。
J09_0559A05: おほかたそのくににむまれんとおもはんものは。そ
J09_0559A06: のほとけのちかひにしたがふへき也。されは彌陀の
J09_0559A07: 淨土にむまれんとおもはんものは。彌陀の誓願にし
J09_0559A08: たがふへき也。本願の念佛と。本願にあらざる餘行
J09_0559A09: とさらにたくらふへからす。かるかゆへに往生極樂
J09_0559A10: のためには。念佛の行にすぎたる事は候はぬ也と申
J09_0559A11: す也。往生にあらざる道には。餘行又をのをのつか
J09_0559A12: さどるかたあり。しかるに衆生の生死をはなるるみ
J09_0559A13: ち。ほとけのをしへさまさまにおほく候へとも。こ
J09_0559A14: のころの人の三界を出て生死をはなるるみちは。た
J09_0559A15: だ極樂に往生し候ばかり也このむね聖敎のおほきな
J09_0559A16: ることはり也。次に極樂に往生するに。その行さま
J09_0559A17: さまにおほく候へとも。われらか往生せん事念佛に
J09_0559B18: あらずはかなひかたく候也。そのゆへは念佛はこれ
J09_0559B19: 佛の本願なるかゆへに。願力にすがりて往生する事
J09_0559B20: はやすし。されば詮するところは。極樂にあらずは
J09_0559B21: 生死をはなるへからす。念佛にあらすは極樂へむま
J09_0559B22: るへからさる者也。ふかくこのむねを信ぜさせ給ひ
J09_0559B23: て。一すぢに極樂をねがひ。一すぢに念佛して。こ
J09_0559B24: のたびかならず生死をはなれんとおほしめすへき
J09_0559B25: 也。又一一の願のをはりに。若不爾者不取正覺とち
J09_0559B26: かひ給へり。しかるに阿彌陀佛ほとけになり給ひて
J09_0559B27: よりこのかた。すでに十劫をへ給へり。まさにしる
J09_0559B28: へし誓願むなしからず。みなことことく成就し給へ
J09_0559B29: ることを。其中に念佛往生の願ひとりむなしかるへ
J09_0559B30: からす。しかれは衆生稱念するもの一人もむなしか
J09_0559B31: らす。みなかならす往生する事をう。もししからず
J09_0559B32: ばたれかほとけになり給へる事を信すへきや。三寶
J09_0559B33: 滅盡の時なりといへとも。一念すれはなを往生す。
J09_0559B34: 五逆重罪の人なりといへとも。十念すれば又往生す。

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