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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0551A01: を。至誠心となづくるにてこそ候めれ
J09_0551A02: 二に深心といふは。すなはちこれ深く信する心也。
J09_0551A03: 何事をふかく信するぞといふに。まづもろもろの煩
J09_0551A04: 惱を具足し。おほくのつみをつくりて。餘の善根な
J09_0551A05: となからん凡夫。阿彌陀佛の大悲本願をあふきて。
J09_0551A06: その佛の大悲の名號をとなへて。もしは百年にても
J09_0551A07: もしは四五十年にても。もしは十二十年にても。乃至
J09_0551A08: 一二年にてもあれ。すべて往生せんとおもひはじめ
J09_0551A09: たらん時よりして。最後臨終の時にいたるまて懈怠
J09_0551A10: せず。もしは七日一日。十聲一聲にても。をほくもす
J09_0551A11: くなくも。稱名念佛の人は。决定して往生すへしと
J09_0551A12: 信して。乃至一念もうたがふ心なきを深心とは申
J09_0551A13: 也。しかるにもろもろの往生をねがふ人。本願の名
J09_0551A14: 號をたもちながら。なを内に妄念のをこるををそれ。
J09_0551A15: 外に餘善のすくなきによりても。ひとへにわか身を
J09_0551A16: かろしめて。往生を不定におもはば。すてに本願を
J09_0551A17: うたがふなり。されは善導は。はるかに未來の行者
J09_0551B18: の。此うたかひをのこさん事をかがみて。其疑心を
J09_0551B19: のぞきて。决定の心をすすめむがために。煩惱を具足
J09_0551B20: して。罪業をつくり。善根すくなく智解なからん
J09_0551B21: 凡夫。十聲一聲まての念佛によりて。决定して往生
J09_0551B22: すへきことはりを。くはしく釋しをしへ給へる也。
J09_0551B23: たとひおほくの佛。空の中に充滿して。光をはなち。
J09_0551B24: 舌をのべて。造罪の凡夫。念佛して往生すといふ事
J09_0551B25: はひが事なり。信ずへからずとの給ふとも。それに
J09_0551B26: よりて。一念もおどろきうたがふ心あるへからす。
J09_0551B27: そのゆへは。阿彌陀ほとけ。いまた佛になり給はさ
J09_0551B28: りしむかし。もし我佛になりたらん時。十方の衆生。
J09_0551B29: わか名號を十たひとなへ。一こゑもとなへむ。とな
J09_0551B30: ふることかみ百年より。しも十聲一聲までも。もし
J09_0551B31: わか國にむまれずといはば。われ佛にならしとちか
J09_0551B32: ひ給ひたりしに。その願むなしからずして。佛にな
J09_0551B33: りて。すてに久しくなり給へり。知るへしかの名號
J09_0551B34: をとなへむ人は。かならず往生すへしといふ事を。

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