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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0550A01: にては。たやすく申ひらきがたき事にて候。あはれ
J09_0550A02: 京に久しく御逗留候し時。こまかに御沙汰候はまし
J09_0550A03: かは。よく候ひなまし。大方は念佛して往生すと申
J09_0550A04: 事ばかり。わつかに見およひ候。我心一つにふかく
J09_0550A05: 信したるはかりにてこそ候へ。人まてつまびらか
J09_0550A06: に申きかせなとする程の身にて候はねは。まして立
J09_0550A07: いりたる事共の。不審なと。御文にて申ひらくへし
J09_0550A08: ともおほへ候はねとも。わづかにみをよび候程の事
J09_0550A09: を。はばかりまいらせて。ともかくも御返事申候は
J09_0550A10: さらんことの。をそれにて候へは。心のをよぶ程
J09_0550A11: は。かたのごとく申候はんと存候也。まづ三心具足
J09_0550A12: して往生すと申候事は。實にその名目はかりをうち
J09_0550A13: きく時には。いかなる心を申やらんと。事事しく
J09_0550A14: おほえ候ひぬへけれとも。善導の御意にては。心え
J09_0550A15: やすきことにて候也。かならすならひ沙汰せざらん
J09_0550A16: 無智の人。さとりなからん女人などの。え具せぬほ
J09_0550A17: との心はえにては候はぬ也。たたまめやかに往生せ
J09_0550B18: んと思ひて。念佛申さん人は。自然に具足しぬへき
J09_0550B19: 心にて候物を。其ゆへは。三心と申すは。觀無量壽
J09_0550B20: 經にとかれて候やうは。もし衆生ありて。かの國に
J09_0550B21: むまれんとねかはんものは。三種の心ををこして。
J09_0550B22: すなはち往生すへし。何等をか三とする。一には至
J09_0550B23: 誠心。二には深心。三には廻向發願心也。この三心
J09_0550B24: を具するものは。かならすかのくににむまるととか
J09_0550B25: れたり。しかるに善導和尚の御意によらは。はしめ
J09_0550B26: に至誠心といふは。眞寶の心也。眞實といふは。い
J09_0550B27: はく。内はむなしくして。外をかさる心のなきを申
J09_0550B28: 也。すなはち觀經疏に釋していはく。外には賢善精
J09_0550B29: 進の相を現し。内には虚假をいだく事をえされとい
J09_0550B30: へり。この釋の心は。内はをろかにして。外にはかし
J09_0550B31: こき人とおもはれんとふるまひ。内には惡をもつく
J09_0550B32: り。外には善人のよしをしめし。内には懈怠の心を
J09_0550B33: 懷きて。外には精進の相を現するを眞實ならぬ心と
J09_0550B34: は申也。外も内もありのままにて。かざる心のなき

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