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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0545A01: 佛を稱申さん時。餘事を少もおもひませ候まじきに
J09_0545A02: や。一聲念佛申さん程。物をおもひまぜさらん事は
J09_0545A03: やすく候へは。一念往生にはもるる人候はしと覺え
J09_0545A04: 候又いのちのをはるを期として。餘念なからん事
J09_0545A05: は。凡夫のあるましきことなれは。往生すへき事とも
J09_0545A06: 思はれず。此義いかか心え候へき
J09_0545A07: 答。善導此事を釋しての給はく。ひとたび三心を具
J09_0545A08: 足してのち。見だれやぶれやぶれざる事金剛のことく
J09_0545A09: にて。いのちをはるを期とするを。なづけて一心と
J09_0545A10: いふと候。阿彌陀佛の本願の文に。設我得佛十方衆
J09_0545A11: 生至心信樂欲生我國乃至十念若不生者不取正覺とい
J09_0545A12: ふ。此文に至心といふは。觀經にあかすところの。
J09_0545A13: 三心の中の至誠心にあたれり。信樂といふは。深心
J09_0545A14: にあたれり。欲生我國は。廻向發願心にあたれり。
J09_0545A15: これらをふさねて。命をはるを期としてみたれぬ
J09_0545A16: を。一心とは申す也。此心を具せんもの。もしは一
J09_0545A17: 日二日。乃至十聲一聲。かならず往生する事をうと
J09_0545B18: いふ。いかてか凡夫の心に散亂なき事候べき。され
J09_0545B19: はこそ易行道とは申す事にて候へ。雙卷經の文には
J09_0545B20: 橫截五惡趣。惡趣自然閇。昇道無窮極。易往而無人
J09_0545B21: とけり。まことにゆきやすきこと。是にすぎたる
J09_0545B22: や候へき。劫をつみてむまるといはは。いのちもみ
J09_0545B23: しかく。身も堪さらん人いかかとおもふへきに。本願
J09_0545B24: に乃至十念といひ。願成就の文に。乃至一念も彼佛
J09_0545B25: を念して。至心に廻向すれは。即かの國にむまるる
J09_0545B26: ことをうといふ。造惡のものむまれずといはは。觀
J09_0545B27: 經の文に。五逆の罪人むまるととく。もし世もくだ
J09_0545B28: り人の心もをろかなる時は。信心うすくしてむまれ
J09_0545B29: かたしといはは。雙卷經の文に。當來之世經道滅盡
J09_0545B30: 我以慈悲哀愍特留此經止住百歳其有衆生値斯
J09_0545B31: 經者隨意所願可得度云云その時の衆生は。三寶
J09_0545B32: の名をたに聞ことなし。もろもろの聖敎は龍宮にか
J09_0545B33: くれて一卷もととまる物なし。たた邪惡無信のさか
J09_0545B34: りなる衆生のみありて。皆惡道に落ちぬへし。彌陀

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