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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0537A01: く。衰老にもいたらず病患にものぞまず。今出家を
J09_0537A02: もとむ是最上の善根也とこそはいひけれ。釋迦如來
J09_0537A03: 當來導師の慈尊に付屬し給ふにも。破戒重惡のとも
J09_0537A04: からなりといふとも。頭をそり衣をそめ袈婆をかけ
J09_0537A05: たらんものをは。みななんぢにつくとこそは仰られ
J09_0537A06: て候へ。されは破戒なりといへとも三會得脱なをた
J09_0537A07: のみあり。ある經の文には。在家の持戒には出家の
J09_0537A08: 破戒はすぐれたりとこそは申て候へ。誠に佛法流布
J09_0537A09: の世にむまれて。出離の道をしりて。解脱幢相の衣
J09_0537A10: をかたにかけ。釋氏につらなりて。佛法修行せざら
J09_0537A11: んは。實にたからの山に入て。手をむなしくしてか
J09_0537A12: へるためしなり
J09_0537A13: 問。誠に出家なとしては。さすがに生死をはなれ。
J09_0537A14: 菩提にいたらん事をこそはいとなみ候へけれ。如何
J09_0537A15: 樣にかつとめ。いかやうにかねがひ候へき
J09_0537A16: 答。安樂集に云。大乘の聖敎によるに二種の勝法あ
J09_0537A17: り。一には聖道。二には往生淨土也。穢土の中にし
J09_0537B18: てやかて佛果をもとむるはみな聖道門也。諸法の實
J09_0537B19: 相を觀して證をえんとし。法花三昧を行して六根淸
J09_0537B20: 淨をもとめ。三密の行法をこらして即身に成佛せん
J09_0537B21: とおもひ。あるひは四道の果をもとめ。又三明六通
J09_0537B22: をねがふ。これみな難行道也。往生淨土門といふ
J09_0537B23: は。まつ淨土へむまれて。かしこにてさとりをもひ
J09_0537B24: らき。佛にもならんとおもふ也。是をは易行道とい
J09_0537B25: ふ。生死をはなるる道みちおほし。いつれよりもい
J09_0537B26: らせ給へ
J09_0537B27: 問。さてはわれらがこときのをろかなるものは。淨土
J09_0537B28: の往生をねかひ候へきかいかん
J09_0537B29: 答。安樂集に云。聖道の一種は今の時には證じがた
J09_0537B30: し。一には大聖をさる事はるかにとをきにより。二
J09_0537B31: には理はふかくしてさとりはすくなきによる。此故
J09_0537B32: に大集月藏經に云。我末法の時の中の。億億の衆生行
J09_0537B33: ををこし道を修するに。いまた一人もうる者あらじ
J09_0537B34: と。まさに今末法五濁惡世也。たた淨土の一門のみあ

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