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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0523A01: 見て。正念には住すと申すへき也。それにさきの念
J09_0523A02: 佛をはむなしく思ひなして。よしなき臨終正念をの
J09_0523A03: みいのる人のおほくある。ゆゆしき僻胤の事也。さ
J09_0523A04: れは佛の本願を信せん人は。かねて臨終をうたかふ
J09_0523A05: 心あるへからず。當時申さん念佛をぞ。いよいよ心
J09_0523A06: を至して申へき。いつかは佛の本願にも。臨終の時
J09_0523A07: 念佛申たらん人をのみ。むかへんとはたて給ひた
J09_0523A08: る。臨終の念佛にて。往生すと申事は。もとは往生
J09_0523A09: をもねがはずして。ひとへにつみをつくりたる惡人
J09_0523A10: の。すでに死なんとする時。はしめて善知識のす
J09_0523A11: すめにあひて。念佛して往生すとこそ。觀經にも
J09_0523A12: とかれたれ。もとより念佛を信せん人は。臨終の沙
J09_0523A13: 汰をばあながちにすへき樣もなき事なり。佛の來迎
J09_0523A14: 一定ならは。臨終の正念は。また一定とこそはをも
J09_0523A15: ふへきことはりなれ。この意をよくよく心をとどめ
J09_0523A16: て。意うべき事なり。又別解別行の人に。やぶられ
J09_0523A17: ざれといは。さとりことに。をこなひことならん人
J09_0523B18: の。いはん事につきて。念佛をもすて。往生をもう
J09_0523B19: たがふ心なかれといふ事也。さとりことなる人と申
J09_0523B20: すは。天台法相等の。八宗の學匠なり。行ことなる
J09_0523B21: 人と申すは。眞言止觀の一切の行者也。これらは聖
J09_0523B22: 道門をならひをこなふ也。淨土門の解行には異なる
J09_0523B23: がゆへに。別解別行となづくる也。又惣しておなし
J09_0523B24: く念佛を申す人なれとも。彌陀の本願をばたのます
J09_0523B25: して。自力をはけみて。念佛はかりにてはいかか往
J09_0523B26: 生すへき。異なる功德をつくり。ことなる佛にもつか
J09_0523B27: へて。ちからをあはせてこそ。往生程の大事をばと
J09_0523B28: ぐべけれ。たた阿彌陀佛はかりにては。かなはしも
J09_0523B29: のをなどうたがひをなし。いひさまたけん人のあら
J09_0523B30: んにも。けにもと思ひて。一念もうたがふ心なくて。
J09_0523B31: いかなることはりをきくとも。往生决定の心をう
J09_0523B32: しなふ事なかれと申す也。人にいひやふらるまじき
J09_0523B33: ことはりを。善導こまかに釋し給へり。意をとりて
J09_0523B34: 申さば。たとひ佛ましまして。十方世界にあまねく

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