ウィンドウを閉じる

J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0522A01: して。うたかふ心のなきを深心とは申候也。いかな
J09_0522A02: るとがをもきらはねばとて。法にまかせてふるまふ
J09_0522A03: べきにはあらず。されば善導も不善の三業をば。眞
J09_0522A04: 實心の中にすつべし。善の三業をは。眞實心の中に
J09_0522A05: なすへしとこそは釋し給ひたれ。又善業にあらざる
J09_0522A06: をば。うやまてこれをとをさかれ。又隨喜せされな
J09_0522A07: ど釋し給ひたれば。心のをよはん程はつみをもをそ
J09_0522A08: れ。善にもすすむべき事とこそは心えられたれ。た
J09_0522A09: だ彌陀の本誓の善惡をもきらはす。名號をとなふれ
J09_0522A10: は。かならすむかへ給そと信し。名號の功德のいか
J09_0522A11: なるとがをも除滅して。一念十念もかならず往生を
J09_0522A12: うる事の。めてたき事をふかく信して。うたかふ心一
J09_0522A13: 念もなかれといふ意也。又一念に往生すればとて。か
J09_0522A14: ならずしも一念にかきるへからず。彌陀の本願の意
J09_0522A15: は。名號をとなへん事。もしは百年にても。十二十
J09_0522A16: 年にても。もしは四五年にても。もしは一二年にて
J09_0522A17: も。もしは七日一日十聲一聲までも。信心ををこし
J09_0522B18: て南無阿彌陀佛と申せは。かならすむかへ給なり。
J09_0522B19: 惣してこれをいへは。上は念佛申さんと思ひはしめ
J09_0522B20: たらんより。いのちをはるまても申也。中は七日一
J09_0522B21: 日も申し。下は十聲一聲まても彌陀の願力なれば。
J09_0522B22: かならず往生すへしと信して。いくら程こそ本願な
J09_0522B23: れとさだめず。一念までも定めて往生すと思ひて。
J09_0522B24: 退轉なくいのちをはらんまで申すべき也。又まめや
J09_0522B25: かに往生の心さしありて。彌陀の本願をたのみて念
J09_0522B26: 佛申さん人。臨終のわろき事は何事にかあるへき。
J09_0522B27: そのゆへは。佛の來迎し給ふゆへは。行者の臨終正
J09_0522B28: 念のため也。それを意えぬ人は。みなわか臨終正念
J09_0522B29: にて念佛申したらんおりそ。ほとけはむかへ給ふへ
J09_0522B30: きとのみ意えたるは。佛の本願を信せず。經の文を
J09_0522B31: 意えぬ也。稱讃淨土經には。慈悲をもて加へ祐けて
J09_0522B32: 心をしてみだらざらしめ給ふととかれたる也。たた
J09_0522B33: の時よくよく申しをきたる念佛によりて。かならす
J09_0522B34: ほとけは來迎し給ふ也。佛のきたりて現し給へるを

ウィンドウを閉じる