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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0518A01: すぎたるはなし。おほよそうき世をいでで佛道にい
J09_0518A02: るにおほくの門ありといへとも。おほきにわかちて
J09_0518A03: 二門を出す。すなはち聖道門と淨土門と也。はしめ
J09_0518A04: に聖道門といは。此娑婆世界にありながら。まどひ
J09_0518A05: をたちさとりをひらく道也。これにつきて大乘の聖
J09_0518A06: 道あり。小乘の聖道あり。大乘に又二あり。すなは
J09_0518A07: ち佛乘と菩薩乘と也。小乘に又二あり。聲聞乘と縁
J09_0518A08: 覺乘と也。これらを總して四乘となづく。ただしこ
J09_0518A09: れらはみな。このころのわれらが身にたへたる事に
J09_0518A10: あらず。このゆへに道綽禪師は。聖道の一種は今時
J09_0518A11: に證しかたしとの給へり。さればをのをののをこな
J09_0518A12: ふやうを申して詮なし。ただ聖道門は聞とをくして
J09_0518A13: さとりかたく。まとひやすくしてわが分にはおもひ
J09_0518A14: よらぬみちなりと。おもひはなつへき也
J09_0518A15: つきに淨土門といは。この娑婆世界をいとひすてて
J09_0518A16: いそきて極樂にむまるる也。かの國にむまるる事は
J09_0518A17: 阿彌陀佛のちかひにて人の善惡をえらはず。ただほ
J09_0518B18: とけのちかひをたのみたのまさるによる也。このゆ
J09_0518B19: へに道綽は。淨土の一門のみありて通入すへきみち
J09_0518B20: なりとのたまへり。さればこのころ生死をはなれん
J09_0518B21: と思はむ人は。證じかたき聖道をすてて。ゆきやすき
J09_0518B22: 淨土をねかふへき也。この聖道淨土をは。難行道易行
J09_0518B23: 道となづけたり。たとへをとりてこれをいふに。難行
J09_0518B24: 道はけはしきみちをかちにてゆくかことし。易行道
J09_0518B25: は。海路をふねにのりてゆくかごとしといへり。あし
J09_0518B26: なえ目しゐたらん人は。かかるみちにはむかふへか
J09_0518B27: らず。ただふねにのりてのみむかひのきしにはつく
J09_0518B28: なり。しかるにこのころのわれらは。智惠のまなこし
J09_0518B29: ゐ。行法のあしなへたるともから也。聖道難行のけ
J09_0518B30: はしきみちには。總してのそみをたつへし。ただ彌陀
J09_0518B31: の本願のふねにのりて。生死のうみをわたり。極樂
J09_0518B32: のきしにつくへき也。いまこのふねは。すなはち彌
J09_0518B33: 陀の本願にたとふる也。その本願といは。彌陀のむか
J09_0518B34: しはしめて道心ををこして。國王のくらゐをすてて

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