ウィンドウを閉じる

J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0517A01: へとも。いまだ正覺をなり給はず。彌陀は不取正覺
J09_0517A02: の願ををこして。正覺をなりてすでに十劫を經給へ
J09_0517A03: り。かくのこときのちかひに信をいたさざらん人
J09_0517A04: は。又他の法門をも信仰するにをよはず。しかれば
J09_0517A05: 返かえすも一向專修の念佛に信をいたして他の心な
J09_0517A06: く。日夜朝暮行住坐臥にをこたる事なく。稱念すへ
J09_0517A07: き也。專修念佛をいたすともから。當世にも往生をと
J09_0517A08: ぐるきこえそのかすおほし。雜修の人にをいてはそ
J09_0517A09: のきこえきはめてありかたし。そもそもこれを見聞
J09_0517A10: ても。なをよこさまのひかゐんにいりて。物難せんと
J09_0517A11: おもはんともからは。さためていよいよいきとをり
J09_0517A12: をなして。しからばむかしよりほとけのときをき給
J09_0517A13: へる經論聖敎。みなもて無益のいたつら物にてうせ
J09_0517A14: なんとするにこそなどあさけり申さんすらん。それ
J09_0517A15: は天台法相の本寺本山に修學をいとなみて名をもあ
J09_0517A16: け。おほやけにもつかへて官位をものそまんとおも
J09_0517A17: はんにをいては左右にをよぶへからず。又上根利智
J09_0517B18: の人はそのかきりにあらず。この心をえてよく了簡
J09_0517B19: する人はあやまりても聖道門をことにをもくするゆ
J09_0517B20: へと存ずべき也。しかるをなを念佛にあひかねてつ
J09_0517B21: とめをいたさん事は。聖道門を既に念佛の助行に用
J09_0517B22: へきか。その條こそ返返聖道門をうしなふにては侍
J09_0517B23: るめれ。ただこの念佛門は。返返も他の心なく後世
J09_0517B24: を思はんともからの。よしなき僻胤にをもむきて。
J09_0517B25: 時をも身をもはからず。雜行を修して。このたびたま
J09_0517B26: たまうけかたき人界にむまれて。さばかりあひがた
J09_0517B27: き彌陀のちかひをすてて。復三途の舊里にかへりて。
J09_0517B28: 生死に輪轉して。多百千劫をへんかなしさを思ひし
J09_0517B29: らぬ人のために申にて候也。さらば諸宗のいきとお
J09_0517B30: りおもふへき事にはあらさる也
J09_0517B31:
J09_0517B32: 淨土宗略抄
J09_0517B33: このたひ生死をはなるるみち。淨土にむまるるにす
J09_0517B34: ぎたるはなし。淨土にむまるるをこなひ。念佛に

ウィンドウを閉じる