ウィンドウを閉じる

J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0516A01: くるしみ。いとたへかたくまちとをなるへし。ここに
J09_0516A02: われらこのたひはしめて人界の生をうけたるにもあ
J09_0516A03: らじ。世世生生をへて。如來の敎化にも。菩薩の弘
J09_0516A04: 經にも。いくばくかあひたてまつりけん。ただ不信
J09_0516A05: にして敎化にもれきたれるなるべし。三世の諸佛十
J09_0516A06: 方の菩薩思へはみなこれむかしのとも也。釋迦も五
J09_0516A07: 百塵點のさき。彌陀も十劫成道のさきは。かたしけ
J09_0516A08: なく父母師弟ともたがひになり給ひけん。ほとけは
J09_0516A09: 前佛の敎をうけ。善知識のをしへを信して。はやく
J09_0516A10: 發心修行し給ひて。成佛してひさしくなり給にけ
J09_0516A11: る。われらは信心おろかなるゆへに。いまに生死に
J09_0516A12: とどまれるなるへし。過去の輪轉をおもへは。未來
J09_0516A13: も又かくのことし。たとひ二乘の心をはをこすと云と
J09_0516A14: も。菩提心をばをこしかたし。ここをもて如來勝方
J09_0516A15: 便をたれて他力往生の法を敎へ給へり。濁世の衆生
J09_0516A16: 自力をはけまさんには。百千萬劫難行苦行をいたす
J09_0516A17: といふとも。その勤をよぶところにあらず。又かの
J09_0516B18: 聖道門は。よく淸淨にしてそのうつはものにたれら
J09_0516B19: ん人のつとむべき行也。懈怠不信にしては中なか行
J09_0516B20: ぜざらんよりもつみとなるかたもありぬへし。念佛
J09_0516B21: 門にをいては。行住坐臥。ねてもさめても持念するに
J09_0516B22: そのたよりありてとがなく。そのうつはものをきら
J09_0516B23: はず。ことことく往生の因となる事うたがひなし。
J09_0516B24: されは
J09_0516B25: 彼佛因中立弘誓聞名念我總來迎
J09_0516B26: 不簡貧窮將富貴不簡下智與高才
J09_0516B27: 不簡多聞持淨戒不簡破戒罪根深
J09_0516B28: 但使廻心多念佛能令瓧礫變成金
J09_0516B29: といへり。又いみじき經論聖敎も。最後臨終の時に至
J09_0516B30: ては。智者といへともその文を暗誦することあたはす。
J09_0516B31: 念佛にをいては。いのちをきはむるにいたるまで。
J09_0516B32: 稱念するに。そのわつらひなし。又諸のほとけの誓
J09_0516B33: 願のためしをひかんにも。藥師の十二の誓願には。
J09_0516B34: 不取正覺の願なく。千手の願は不取正覺とちかひ給

ウィンドウを閉じる