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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0513A01: ときのちからにたへざるものは。所所をかぬるあひ
J09_0513A02: だ。身はつかるといへとも。そのしるしをえかた
J09_0513A03: し。一向に人一人をたのめは。まつしき者もかなら
J09_0513A04: ずそのあはれみをうる也。すなはち末代惡世の無智
J09_0513A05: の衆生はかのまつしき者のことしむかしの權者聖人
J09_0513A06: は。家ゆたかなる衆生のことし。しかれは無智の身を
J09_0513A07: もて。智者の行をまなはんにをきては。貧しきもの
J09_0513A08: の得人をまなばんがことく也。又なをたとへをとら
J09_0513A09: ば。たかき山の人もかよふべくもなからん。巖石
J09_0513A10: を。ちからたへさらんもの。石のかど木の根にと
J09_0513A11: りすがりてのほらんとはげまんは。雜行を修して往
J09_0513A12: 生をねがはんがことくなり。かの山のみねより。つ
J09_0513A13: よきつなをおろしたらんにすがりてのほらんは。彌
J09_0513A14: 陀の願力をふかく信して。一向に念佛をつとめて。往
J09_0513A15: 生せんがことくなるべし。又一向專修には。三心は
J09_0513A16: ことにをのつから具足すへき也。三心といふは。一に
J09_0513A17: は至誠心。二には深心。三には廻向發願心也。至誠
J09_0513B18: 心といふは餘佛を禮せず彌陀を禮し。餘行を修せす
J09_0513B19: 彌陀を念して。もはらにしてもはらならしむる也。
J09_0513B20: 深心といふは。彌陀の本願をふかく信してわが身は
J09_0513B21: 無始よりこのかた罪惡生死の凡夫として生死をまぬ
J09_0513B22: かるへきみちなきを。彌陀の本願不可思議なるによ
J09_0513B23: りて。かの名號を一向に稱念して。うたがひをなす
J09_0513B24: 心なけれは。一念のあひだに八十億劫の生死のつみ
J09_0513B25: を滅して。最後臨終の時。かならず彌陀の來迎にあづ
J09_0513B26: かるなり。廻向發願心といふは。自他の行を眞實の
J09_0513B27: 心の中に廻向發願する也。この三心一つもかけぬれ
J09_0513B28: は往生をとげがたし。しかれば他の行をまじへんに
J09_0513B29: よりて。罪になるへからずといへとも。そのこころを
J09_0513B30: はかり見るに。なを念佛往生を不定におもひて。いさ
J09_0513B31: さかのうたかひをのこして。他事をくはふるにて侍
J09_0513B32: るべき也。又この三心の中に。至誠心をやうやうに心
J09_0513B33: えて。ことに誠を至すへきことを。かたく申しなす
J09_0513B34: ともからも侍るにや。それは彌陀の本願の本意に

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