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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0501A01: ものも往生す。十聲申すものも往生すといふ事な
J09_0501A02: り。往生だにもひとしくは。功德なんそ劣ならん。
J09_0501A03: 本願の文に。設我得佛十方衆生至心信樂欲生我
J09_0501A04: 國乃至十念若不生者不取正覺この文の意は。
J09_0501A05: 法藏比丘。われほとけになりたらん時。十方の衆生
J09_0501A06: 極樂にむまれんとおもひて。南無阿彌陀佛と。もしは
J09_0501A07: 十聲。もしは一聲申さん衆生をむかへずは。ほとけ
J09_0501A08: にならじとちかひ給ふ。かるかゆへにかずの多少を
J09_0501A09: 論せず。往生の得分はをなじき也。本願の文顯然な
J09_0501A10: り。なんぞうたがはんや 問ていはく。最後の念佛
J09_0501A11: と。平生の念佛といつれかすぐれたるや 答ていは
J09_0501A12: く。たたをなじ事也。そのゆへは。平生の念佛。臨
J09_0501A13: 終の念佛とてなんのかはりめかあらん。平生の念佛
J09_0501A14: の死ぬれは。臨終の念佛となり。臨終の念佛ののぶ
J09_0501A15: れは。平生の念佛となる也 難していはく。最後の
J09_0501A16: 一念は百年の業にすくれたりと見えたり。いかむ
J09_0501A17: 答ていはく。このうたがひは。この文をしらさる難
J09_0501B18: なり。いきのとどまる時の一念は。惡業こはくして
J09_0501B19: 善業にすぐれたり。善業こはくして惡業にすくれた
J09_0501B20: りといふ事也。ただしこの申す人は念佛者にてはな
J09_0501B21: し。もとより惡人の沙汰をいふ事也。平生より念佛
J09_0501B22: 申て往生をねがふ人の事をは。ともかくもさらに沙
J09_0501B23: 汰にをよはぬ事也 問ていはく。攝取の益をかうふ
J09_0501B24: る事は。平生か臨終か。いかむ 答ていはく。平生
J09_0501B25: の時なり。そのゆへは。往生の心まことにて。わか
J09_0501B26: 身をうたがふ事なくて。來迎をまつ人は。この三心
J09_0501B27: 具足の念佛申す人なり。この三心具足しぬれば。か
J09_0501B28: ならず極樂にうまるといふ事は。觀經の説なり。
J09_0501B29: かかる心さしある人を。阿彌陀佛は八萬四千の光明
J09_0501B30: をはなちててらし給ふ也。平生の時てらしはじめ
J09_0501B31: て。最後まて捨給はぬなり。かるかゆへに不捨の誓
J09_0501B32: 約と申す也 問ていはく智者の念佛と。愚者の念
J09_0501B33: 佛と。いづれも差別なしや 答ていはく。ほとけの
J09_0501B34: 本願にとづかは。すこしの差別もなし。そのゆへは

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