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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0488A01: やかに心えざる也。世のほまれをおもひ。人めをか
J09_0488A02: ざる心はなに事にもわたる事なれは。ゆめまほろし
J09_0488A03: の榮花重職をおもふのみにはかきらぬ事にてある
J09_0488A04: 也。中なか在家の男女の身にて後世をおもひたるを
J09_0488A05: は。心ある事のいみしくありかたきとこそは人も申
J09_0488A06: す事なれは。それにつけて。外をかざりて人にいみ
J09_0488A07: じがられんとおもふ人のあらんもかたかるへくもな
J09_0488A08: し。まして世をすてたる人なとにむかひては。さな
J09_0488A09: からん心をも。あはれをしりかほにあひしらはんた
J09_0488A10: めに。後世のおそろしさ。此世のいとはしさなんと
J09_0488A11: は申すへきぞかし。又か樣に申せは。ひとへにこの
J09_0488A12: 世の人めはいかにもありなんとて。人のそしりをも
J09_0488A13: かへりみす。ほかをかさらねはとて。心のままにふ
J09_0488A14: るまふがよきと申すにてはなきなり。菩薩の譏嫌戒
J09_0488A15: とて。人のそしりになりぬへき事をはなせそとこそ
J09_0488A16: いましめられたれ。さればはうにまかせてふるまへ
J09_0488A17: は。放逸とてわろき事にてあるなり。それに時にの
J09_0488B18: ぞみたる譏嫌戒のためはかりに。いささか人めをつ
J09_0488B19: つむかたは。わさともさこそあるへき事を。人目を
J09_0488B20: のみ執してまことのかたをもかへり見す。往生のさ
J09_0488B21: はりになるまでに。ひきなさるる事の返かえすもくち
J09_0488B22: おしき也。譏嫌戒となづけて。やかて虚假になる事
J09_0488B23: もありぬへし。眞實といひなして。あまり放逸なる
J09_0488B24: 事もありぬべし。これをかまへてかまへて。よくよく意
J09_0488B25: えとくへし。詞なをたらぬ心ちする也。又此眞實に
J09_0488B26: つきて。自利の眞實利他の眞實あり。又三界六道の
J09_0488B27: 自他の依正をいとひすてて。かろしめいやしめんに
J09_0488B28: も。阿彌陀佛の依正二報を。禮拜讃嘆憶念せんにも。
J09_0488B29: をよそ厭離穢土欣求淨土の三業にわたりて。みな眞
J09_0488B30: 實なるへきむね。疏の文につぶさ也。その文しげく
J09_0488B31: して。ことことく出すことあたはず。至誠心のあり
J09_0488B32: さま略してかくのことし
J09_0488B33: 二に深心といは。まづ禮讃の文にいはく。二者深
J09_0488B34: 心。すなはち眞實の信心なり。自身は是煩惱を具足

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