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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0487A01: さしもひさしく心をはなれぬ名利の煩惱なれは。た
J09_0487A02: たんとするにやすらかに離かたきなりけりと。お
J09_0487A03: もひゆるさるかたもあれとも。又ゆるしはんへる
J09_0487A04: へき事ならねは。わか心をかへりみて。誡なをすへ
J09_0487A05: き事なり。しかるにわか心の程もおもひしられ。人
J09_0487A06: のうへをも見るに。この人目をかさる心はへの。い
J09_0487A07: かにもいかにもおもひはなれぬこそ。返かえす心うくかな
J09_0487A08: しくおぼゆれ。この世はかりをふかく執する人は。
J09_0487A09: たたまなこのまへのほまれ。むなしき名をもあげん
J09_0487A10: とおもはんをは。いふにたらぬ事にてをきつ。うき
J09_0487A11: 世をそむきて。まことのみちにをもむきたる人ひと
J09_0487A12: の中にも。かへりてはかなくよしなき事かなとおほ
J09_0487A13: ゆる事もある也。むかしこの世を執する心のふかか
J09_0487A14: りしなこりにて。ほどほどにつけたる名利をふりす
J09_0487A15: てたるばかりを。ありかたくいみじき事におもひ
J09_0487A16: て。やかてそれを。この世さまにも心のいろのうる
J09_0487A17: さきにとりなしてさとりあさき世間の人の。心のそ
J09_0487B18: こをはしらす。うへにあらはるるすがた事がらばか
J09_0487B19: りを。たとかりいみしかるをのみ本意におもひて。
J09_0487B20: ふかき山路をたつね。幽なるすみかをしむるまて
J09_0487B21: も。ひとすぢに心のしづまらんためとしもおもは
J09_0487B22: で。をのつからたづねきたらん人。もしはつたへきか
J09_0487B23: ん人のおもはん事をのみさきだてて。まがきのうち
J09_0487B24: 庭のこだち。菴室のしつらひ。道塲の莊嚴なと。た
J09_0487B25: とくめてたく。心ぼそく物あはれならむ事がらをの
J09_0487B26: み。ひきかまへんと執するほとに。罪の事も。ほと
J09_0487B27: けのおほしめさん事をもかへりみす。人のそしりに
J09_0487B28: ならぬ樣をのみおもひいとなむ事よりほかにはおも
J09_0487B29: ひまじふる事もなくて。まことしく往生をねがふ
J09_0487B30: へきかたをは思もいれぬ事なとのあるが。やかて至
J09_0487B31: 誠心かけて。往生せぬ心ばへにてある也又世をそむ
J09_0487B32: きたる人こそ。中なかひじり名聞もありてさやうに
J09_0487B33: もあれ。世にありながら往生をねかはん人は。此心
J09_0487B34: は何ゆへにかあるへきと申す人のあるは。なをこま

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