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J1400 和語灯録 了恵輯緑 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0486A01: もて至誠をあらはすなとあるなれは。たれたれもさ
J09_0486A02: こそははけむへけれ。たたしこの定なるをのみ至誠
J09_0486A03: 心と意えて。是にたがわんをは至誠心かけたりとい
J09_0486A04: はんには。善導のことく至誠心至極して。勇猛なら
J09_0486A05: ん人はかりぞ往生はとぐへき。われらかこときの尫
J09_0486A06: 弱の心にては。いかか往生すべきと臆せられぬへき
J09_0486A07: 也。かれは別して善導一人の德をほむるにてこそあ
J09_0486A08: れ。これは通して一切衆生の往生を决するにてあれ
J09_0486A09: は。たくらふべくもなき事也。所詮はたたわれらか
J09_0486A10: こときの凡夫。をのをの分につけて。強弱の眞實の
J09_0486A11: 心ををこすを至誠心となづけたるとこそ。善導の釋
J09_0486A12: の意は見えたれ。文につきてこまかに意うれは。外に
J09_0486A13: は賢善精進の相を現し。内には虚假をいたくことな
J09_0486A14: かれといふは内には愚にして。外には賢相を現し。
J09_0486A15: 内には惡をのみつくりて。外には善人の相を現し。
J09_0486A16: うちには懈怠にして。ほかには精進の相を現する
J09_0486A17: を。虚假とは申す也。外相の善惡をはかへりみず。
J09_0486B18: 世間の謗譽をはわきまへず。内心に穢土をもいとひ
J09_0486B19: 淨土をもねかひ。惡をもととめ。善をも修して。
J09_0486B20: まめやかに佛の意にかなはん事をおもふを。眞實と
J09_0486B21: は申也。眞實は虚假に對することは也。眞と假と對
J09_0486B22: し。虚と實と對するゆへなり。この眞實虚假につき
J09_0486B23: てくはしく分別するに。四句の差別あるべし。一に
J09_0486B24: は外をかさりて内にはむなしき人。二には外をもか
J09_0486B25: さらす内もむなしき人。三には外はむなしく見えて
J09_0486B26: 内はまことある人。四には外にもまことをあらはし内
J09_0486B27: にもまことある人。かくのこときの四人の中には。前
J09_0486B28: の二人をはともに虚假の行者といふへし。後の二人
J09_0486B29: をはともに眞實の行者といふべし。しかれはたた外
J09_0486B30: 相の賢愚善惡をはえらはす。内心の邪正迷悟による
J09_0486B31: へき也。をよそこの眞實の心は。人ことに具しかたく。
J09_0486B32: 事にふれてかけやすき心ばへなり。をろかにはかな
J09_0486B33: しといましめられたるやうもあることはり也。無始
J09_0486B34: よりこのかた今身にいたるまて。おもひならはして。

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