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J1370 一枚起請講説 法洲 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0310A01: 助音せらるるに。助音は窮屈すれども。老邁病腦の
J09_0310A02: 御身少しも怠り玉はず。未曾有のことなり。群集の
J09_0310A03: 道俗感涙を催さざるはなかりしと。
J09_0310A04: 大師の德を慕ひ。道俗群集すと云へども。御病床
J09_0310A05: へは近付ケ玉はず。御看病御助音申すは。僅に五
J09_0310A06: 三人の御弟子計。人多ければさはがしく。臨終の
J09_0310A07: 儀式に違ふ故なり。
J09_0310A08: 廿五日の午の刻九時よりは念佛の御聲。漸くかすかに
J09_0310A09: して。高聲は時時交はる。正しく御命終にのぞみ玉
J09_0310A10: ふ時。慈覺大師の。九條の袈裟をかけ。頭北面西に
J09_0310A11: して。光明遍照十方世界。念佛衆生攝取不捨。の文を
J09_0310A12: となへ。眠るが如クして息絶給ひぬ。音聲とどまりて
J09_0310A13: 後。猶唇舌を動し給ふ事。十餘反計なり。面色殊にあ
J09_0310A14: ざやかに。形容えみ玉ふが如し。建曆二年正月廿五日
J09_0310A15: 午の正中なり。春秋八十に滿給ひ。釋尊御入滅に同
J09_0310A16: じ。御壽算のひとしきのみに非ず。支干ともに壬申
J09_0310A17: なり。豈奇特に非や。慧燈已にきえ佛日亦沒しぬ。貴
J09_0310B18: 賤の哀傷する事。考妣を喪するがごとし。
J09_0310B19: 慧燈佛日。大師を佛にひとしめて。讃ずるの義な
J09_0310B20: り。
J09_0310B21: 元祖大師の御入滅。建曆二年より。今ははや六百有餘
J09_0310B22: の星霜を經たり。此ことを思ふに。悲喜交くなり。其嘆
J09_0310B23: きとは。我等大師の御在世に生れ逢ひ。御敎訓をも
J09_0310B24: 受。一向專修の行者となりたらば。早頓に極樂に往
J09_0310B25: 生し。地上高位の菩薩となつて。無爲の快樂を受べき
J09_0310B26: に。御在世の其昔は。三界六道の内。いかなる生を受
J09_0310B27: けて居てか。御敎訓をもうけ奉らざりし故。現に今四
J09_0310B28: 苦八苦の人界にありて。衆苦の波浪にひたされて苦
J09_0310B29: む。實に嘆かはしき窮りなり。又喜びとは。御在世に
J09_0310B30: 逢ひ奉らざりしは。悲みなりといへども。御遺法流布
J09_0310B31: の世に生れあひて。御敎示の旨を守り。一向專修の行
J09_0310B32: 者となれば。娑婆の報命盡次第。直に往生遂る身の
J09_0310B33: 上となりしは。實に曠劫の大慶。是に過たる喜びは
J09_0310B34: なきなり。爾れば。從來辨ぜし通。大師の御生涯の

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