浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0237A01: | 難しばしば起る内。御弟子の中に。一念義の邪立を |
J09_0237A02: | 芽せし故。南都北嶺よりは。專修念佛停廢の義を訴 |
J09_0237A03: | 訟し。且つ御弟子。住蓮安樂の兩僧は。後鳥羽院熊 |
J09_0237A04: | 野臨幸の御留守に。御許しもなき官女を剃髮せし故。 |
J09_0237A05: | 還幸の後。佞臣種種に讒奏せしかば。弟子の罪を師 |
J09_0237A06: | に負せて。既に七十五にならせ給へる大師を。配流 |
J09_0237A07: | の罪に處し給ひぬ。其後漸く五ケ年を經て。建曆元 |
J09_0237A08: | 年十一月廿日に勅許。御歸洛ありけれども。翌春正 |
J09_0237A09: | 月二日より。日頃の御不食增氣し玉ひ。廿三日に至 |
J09_0237A10: | りては。最早御臨末も遠からじと見ゆる故。御弟子 |
J09_0237A11: | 勢觀上人の願によりて。記し給へる御遺訓なり。則 |
J09_0237A12: | ち勢觀上人の傳に云。上人終焉の期近づき給て。勢 |
J09_0237A13: | 觀房の云。念佛の安心年來御敎誡にあづかるといへ |
J09_0237A14: | ども。猶御自筆に肝要の御所存。一ふであそばされ |
J09_0237A15: | て給はりて。後の御かたみにそなへ侍らんと。申さ |
J09_0237A16: | れたりけれは。御筆をそめられける狀に云。もろこ |
J09_0237A17: | し我てうに。乃至ただ一向に念佛すべしと。云云まさしき |
J09_0237B18: | 御自筆の書なり。まことに末代の龜鏡にたれるもの |
J09_0237B19: | か。上人の一枚消息となづけて。世に流布するこれ |
J09_0237B20: | なりと。九卷傳に云。勢觀上人敢て披露せず。一期 |
J09_0237B21: | の間。頸にかけて秘藏せられけるを。年來師檀の契 |
J09_0237B22: | り淺からざりし。川合の法眼に語り聞へけるを。懇 |
J09_0237B23: | 切に望み申ければ。授けられてより以來。世間に披 |
J09_0237B24: | 露して。上人の一枚消息と云へるものなり。已上勢觀 |
J09_0237B25: | 上人。斯く珍敬し給へるも。御自身の爲斗歟と云に。 |
J09_0237B26: | 爾らず。大師御開宗の正義を。邪義黨の爲に擾され。 |
J09_0237B27: | 末世の衆生の往生を。得遂ざらんことを嘆き憐み給よ |
J09_0237B28: | り發る。其證は。添書に云。門人邪義存人多上人滅 |
J09_0237B29: | 後尚以猥異義依之雖病床臥給此一紙申請處也爲 |
J09_0237B30: | 令不殘疑滯上人御自筆御判形令注置給處如 |
J09_0237B31: | 件正月廿八日源智已上勢觀上人の御性質。至て篤實謹 |
J09_0237B32: | 愼にして。御隨從も首尾十八年。偏に大師を釋尊の |
J09_0237B33: | 如く。敬ひ給へることなれば。御老年と云。餘寒の |
J09_0237B34: | 比と云。殊に御往生も旦夕と見ゆる。御病床にての |