浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0238A01: | ことなれば。さぞ御願ひもなされ苦るしく。御勞心な |
J09_0238A02: | されつらん。なれども。御弟子の中にさへ。成覺房 |
J09_0238A03: | 幸西の。法本房行空の。善信房綽空のと云。無道の |
J09_0238A04: | 者が。大師の御義に背きて。邪義を立る故。御自身 |
J09_0238A05: | の御破斥では。同し御弟子仲間のことなれば。角立し |
J09_0238A06: | て。愚者は法義に暗き故。邪正一决し難ければ。御 |
J09_0238A07: | 勞れをば恐れながら。正義を傳へて衆生を助け度と |
J09_0238A08: | 云。有道の慈悲にむし立られて。師の病床の枕に近 |
J09_0238A09: | づき。請しがたきを請し給へる。源智上人の御心の |
J09_0238A10: | 程を。思ひやり奉りて見よ。いかにつれなき心なり |
J09_0238A11: | とも。偖も難有御慈悲と。信受の心を生ぜずしては。 |
J09_0238A12: | あられまじ云云。又大師は別して。生涯御弘通の正義 |
J09_0238A13: | を。御在世の中よりはや。障礙をなす邪師あれば。 |
J09_0238A14: | 滅後はさぞと御嘆の所へ。勢觀上人の御願ありしこと |
J09_0238A15: | なれば。喜びて御筆を染給ふ。されば師資符合の。 |
J09_0238A16: | 御慈悲より起りたるが。此一枚起請文の縁起なり。 |
J09_0238A17: | 爾れば。上に云如く。元祖大師。御自行化他成滿し |
J09_0238B18: | 給ひて。御臨末の要語。御遺屬の絶筆にして。淨宗 |
J09_0238B19: | の蘊奧を示し。順次决定往生の。龜鑑に備へ玉へば。 |
J09_0238B20: | 此御敎示に隨ふときは往生を遂げ。背けば輪廻を免 |
J09_0238B21: | れず。苦樂浮沉の分れ目は。唯守ると背くとにて。 |
J09_0238B22: | 差別するなり。されば。此得失の間。一つの事實を |
J09_0238B23: | 擧て示さば。或處に。居所も家名も所由ありてしるさず。二家の豪商あり |
J09_0238B24: | て。而も親類にて。兩家とも奢りを省き。貧人を惠 |
J09_0238B25: | む家風なりしが。一家の方は。實子なくて養子なり |
J09_0238B26: | しかば。養父心を用ひて敎導する上に。兼て遺書を |
J09_0238B27: | 認め。家風を守りて。不正の商ひなどをは。痛く誡 |
J09_0238B28: | めたりしに。養父の沒後遺書に背き。過奢放蕩にし |
J09_0238B29: | て。商ひの筋も不正がちなりしかば。家私さんざん |
J09_0238B30: | になりて。借金山をなせり。又一家の方は。至て謹 |
J09_0238B31: | 愼篤實に。父祖の遺命を守り。家風をみださざりし |
J09_0238B32: | かば。次第に繁昌せり。爾るに彼背敎者に金子貸し |
J09_0238B33: | たる方より。守敎者の方へ申越しけるは。御親類某 |
J09_0238B34: | へ。用立たる金子の證文へ。奧印なされ候樣にと。 |