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J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0230A01: る朝恩ともいふべし。此法の弘通は。人はとどめん
J09_0230A02: とすとも。法さらにとどまるべからず。諸佛濟度の
J09_0230A03: ちかひ深く。冥衆護持の約ねんごろなり。しかれば
J09_0230A04: なんぞ世間の機嫌をはばかりて。經釋の素意をかく
J09_0230A05: すべきや。ただしいたむところは。源空が興する淨
J09_0230A06: 土の法門は。濁世末代の衆生の决定。出離の要道な
J09_0230A07: るが故に。常隨守護の神祇冥道。さだめて無道の障
J09_0230A08: 難をとがめ給はんか。命あらんともがら。因果のむ
J09_0230A09: なしからさる事をおもひあはすべし。因縁つきずは。
J09_0230A10: なんぞ又今生の再會なからんやとぞをほせられける
J09_0230A11: また一人の弟子に對して。一向專念の義をのべ給ふ
J09_0230A12: に。御弟子西阿彌陀佛推參して。かくのごときの。
J09_0230A13: 御義。ゆめゆめ有べからずと申ければ。上人の給は
J09_0230A14: く汝經釋の文を見ずやと。西阿申さく經釋の文はし
J09_0230A15: かりといへども。世間の機嫌を存ずるばかりなりと。
J09_0230A16: 上人又の給はく。われたとひ死刑におこなはるとも。
J09_0230A17: このこといはずはあるべからずと此御言葉を推窮するに。大師は世の機嫌を顧みず
J09_0230B18: 急度眞實の。意樂に安住し玉ふと見へたり。滅後の我等を。憐愍覆護し玉へる。大悲深重の程。尊信するに。尚餘りあり。至誠
J09_0230B19: のいろもとも切なり。見たてまつる人。みな涙をぞお
J09_0230B20: としける。官人小松の御房にむかひて。いそぎ配所
J09_0230B21: へうつり給ふべきよしを責申ければ。つゐに都をい
J09_0230B22: で給ふ。已上は御傳三十三之卷。已下は三十四之卷なり。三月十六日に華洛をいで
J09_0230B23: で。夷境にをもむき給ふに。信濃國の御家人。角張
J09_0230B24: の成阿彌陀佛力者の棟梁として。最後の御ともなり
J09_0230B25: とて御輿をかく。同じさまにしたがひ奉る僧。六十
J09_0230B26: 餘人なり。をよそ上人の一期の威儀は。馬車輿など
J09_0230B27: にのり給はず。金剛草履にて。步行し給ひき。しか
J09_0230B28: れども老邁のうへ。長途たやすからざるによりて。
J09_0230B29: 乘輿ありけるにこそ。御なごりを惜み。前後左右に
J09_0230B30: 走りしたがふ人。幾千萬といふ事をしらず。貴賤の
J09_0230B31: かなしむこゑちまたにみち。道俗のしたふ涙地をう
J09_0230B32: るほす。かれらをいさめ給ひけることばには。驛路は
J09_0230B33: これ大聖のゆく所なり。漢家には一行阿闍梨。日域
J09_0230B34: には役優婆塞。謫居は又權化のすむ所なり。震旦に

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