浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0229A01: | 玉ふも。寔に故ある事にこそ。爾らば吾儕。深く慙 |
J09_0229A02: | 愧を懷きて。今此御遺訓を。决定往生の勝券なりと |
J09_0229A03: | 信受せば。實に大師の在世に出生し。直に大師の敎訓 |
J09_0229A04: | を聽聞し。面り念佛往生の要義を。授記せらるるに異 |
J09_0229A05: | ならず。異學異見。別解別行の人に破らるる事もな |
J09_0229A06: | く。稱名不退に相續して。决定往生の本懷を遂ん事。 |
J09_0229A07: | 是此一紙の力用也。『さて又大師の敎勸さかんにし |
J09_0229A08: | て。この一向專修の門より。人おほく生死を出離し。 |
J09_0229A09: | 極樂往生を遂るが故に。天魔競ひ來て。住蓮安樂は死 |
J09_0229A10: | 刑にをこなはれ。南都北嶺のいきどをり。なをやま |
J09_0229A11: | ず。追追讒訴に及びて。弟子のとがを師匠の大師に |
J09_0229A12: | おほせて。すでに度縁をめし上させ。俗名を下させ |
J09_0229A13: | 給ひて。遠流の罪科に定め。藤井の元彥と號し。土 |
J09_0229A14: | 佐の國へをもむき給ふ。大師の敎化を蒙る貴賤。往 |
J09_0229A15: | 生の本懷をのぞむ道俗。なげきかなしむこと。たとへ |
J09_0229A16: | をとるにものなし。門弟等なげきあへる中に。法蓮 |
J09_0229A17: | 房申されけるは。住蓮安樂は罪科せられぬ。上人の |
J09_0229B18: | 流罪はただ一向專修興行の故と。云云しかるに老邁の |
J09_0229B19: | 御身。遼遠の海波にをもむきましまさば。御命安全 |
J09_0229B20: | ならし。我等恩顏を拜し。嚴旨をうけ給ることあるべ |
J09_0229B21: | からず。又師匠流刑の罪にふし給はば。のことと |
J09_0229B22: | まる門弟面目あらんや。且は勅命なり。一向專修の |
J09_0229B23: | 興行。ととむべきよし奏し給ひて。内内御化導有べ |
J09_0229B24: | くや侍らんと申されけるに。上人の給はく。流刑さ |
J09_0229B25: | らに恨みとすべからず。そのゆへは齡ひすてに八旬 |
J09_0229B26: | にせまりぬ。たとひ同じ都に住すとも。娑婆の離別 |
J09_0229B27: | ちかきにあるべし。たとひ山海をへだつとも。淨土 |
J09_0229B28: | の再會なんぞ疑はん。又いとふといへども存するは |
J09_0229B29: | 人の身なり。おしむといへとも死するは人のいのち |
J09_0229B30: | なり。なんぞかならずしも所によらんや。しかの |
J09_0229B31: | みならず。念佛の興行。洛陽にして年ひさし。邊鄙 |
J09_0229B32: | に赴きて田夫野人をすすめんこと。年來の本意なり。 |
J09_0229B33: | しかれども時いたらずして。素意いまだはたさず。い |
J09_0229B34: | まことの縁によりて。年來の本意をとげんこと。すこぶ |