浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0228A01: | て貴き聖います本山某大和尚の上足也。自世を遜て常知と稱す。これも他の尊敬をいみさけて也。府内 |
J09_0228A02: | 處處に假居して。但信口稱の行者也。到る處の西壁 |
J09_0228A03: | に。自ら六字の名號を。紙に書て本尊とす。此外供 |
J09_0228A04: | 身の具とては。一物もある事なし。朝暮一枚起請文 |
J09_0228A05: | を讀。思想雜念を放下し玉ふと聞へたり。敬佛房の |
J09_0228A06: | 大師の御弟子まかべの敬佛上人なり云。後世者の法文は。紙一枚にすぎぬ |
J09_0228A07: | なりと。此上人も此言をや受玉ひけん。安心起行の勸 |
J09_0228A08: | もなく。衣鉢如法の備へもなし。唯布の衣の如くな |
J09_0228A09: | る。十德を著し。威儀細の袈裟を掛。手に百八の念 |
J09_0228A10: | 珠を執り。一聲一課の。十萬聲を日別に課と修し玉 |
J09_0228A11: | へり。適に人訪ひ詣て。發心の由來。或は後世の事 |
J09_0228A12: | など尋れば。僞り設て。我身は妻に離れ。子におく |
J09_0228A13: | れて。恃怙なみの浮舟なれば。さして何を云ふ甲斐 |
J09_0228A14: | なしと。答る外は言なし。かく他の訪問度度に及べ |
J09_0228A15: | ば。頓て居處をぞ移されぬ。其心はせの潔さ。巢父 |
J09_0228A16: | 許由だも及んや。肉兄橋本氏なる人。時時資縁を助 |
J09_0228A17: | け侍る。朝夕の煙さへ。絶絶稱ふ聲のしたに。念佛 |
J09_0228B18: | の外佗事なし。終に元文五申秋橋本氏の宅に病す。 |
J09_0228B19: | 八月八日の終夜念佛し玉へる事。平常に倍せり。家 |
J09_0228B20: | に老婆あり。後世の可恐示し。念佛を授けらる。か |
J09_0228B21: | くて九日の曉方。自ら起坐して。西に向て合掌し端 |
J09_0228B22: | 坐し。稱名の聲と共に寂し玉ふ。面貌含笑。宛も木 |
J09_0228B23: | 像の如し。よりて人人をして拜せしむと。事跡委しく尋ね知ると |
J09_0228B24: | いへども。忌て不載。實に元文五申八月九日。即蓮社念譽上人常知覺源和尚と號。駒込四軒寺町光源寺に墓。ああ誠に其 |
J09_0228B25: | 行狀を云へば。只一箇の愚夫の如く。深く御遺誓を |
J09_0228B26: | 信受し。願生の心最も切にして一大事の往生をぞ |
J09_0228B27: | 遂させ玉へる。昔は大隅の隨願上人を。一機の別意 |
J09_0228B28: | 樂と稱美し。鎭西上人は自ら内證あるかと讃じ玉ふ |
J09_0228B29: | 銘心鈔に出たり是の如く世を捨離れ。身命迄を投て。一紙の |
J09_0228B30: | 御遺誓を信じ玉ふ事。誠に志の至れるに非すや。此 |
J09_0228B31: | 外自門佗門の高僧。智者學匠達人の。或は著述を以 |
J09_0228B32: | て讃揚し。勸㢡し玉ひ。或は莫直に信して。但信稱 |
J09_0228B33: | 名し玉へるもあり。且又上なき天子の綸言を下させ |
J09_0228B34: | 玉ひて。誓書一紙。固結四衆心と迄。恭しく示させ |