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J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0228A01: て貴き聖います本山某大和尚の上足也。自世を遜て常知と稱す。これも他の尊敬をいみさけて也。府内
J09_0228A02: 處處に假居して。但信口稱の行者也。到る處の西壁
J09_0228A03: に。自ら六字の名號を。紙に書て本尊とす。此外供
J09_0228A04: 身の具とては。一物もある事なし。朝暮一枚起請文
J09_0228A05: を讀。思想雜念を放下し玉ふと聞へたり。敬佛房の
J09_0228A06: 大師の御弟子まかべの敬佛上人なり云。後世者の法文は。紙一枚にすぎぬ
J09_0228A07: なりと。此上人も此言をや受玉ひけん。安心起行の勸
J09_0228A08: もなく。衣鉢如法の備へもなし。唯布の衣の如くな
J09_0228A09: る。十德を著し。威儀細の袈裟を掛。手に百八の念
J09_0228A10: 珠を執り。一聲一課の。十萬聲を日別に課と修し玉
J09_0228A11: へり。適に人訪ひ詣て。發心の由來。或は後世の事
J09_0228A12: など尋れば。僞り設て。我身は妻に離れ。子におく
J09_0228A13: れて。恃怙なみの浮舟なれば。さして何を云ふ甲斐
J09_0228A14: なしと。答る外は言なし。かく他の訪問度度に及べ
J09_0228A15: ば。頓て居處をぞ移されぬ。其心はせの潔さ。巢父
J09_0228A16: 許由だも及んや。肉兄橋本氏なる人。時時資縁を助
J09_0228A17: け侍る。朝夕の煙さへ。絶絶稱ふ聲のしたに。念佛
J09_0228B18: の外佗事なし。終に元文五申秋橋本氏の宅に病す。
J09_0228B19: 八月八日の終夜念佛し玉へる事。平常に倍せり。家
J09_0228B20: に老婆あり。後世の可恐示し。念佛を授けらる。か
J09_0228B21: くて九日の曉方。自ら起坐して。西に向て合掌し端
J09_0228B22: 坐し。稱名の聲と共に寂し玉ふ。面貌含笑。宛も木
J09_0228B23: 像の如し。よりて人人をして拜せしむと。事跡委しく尋ね知ると
J09_0228B24: いへども。忌て不載。實に元文五申八月九日。即蓮社念譽上人常知覺源和尚と號。駒込四軒寺町光源寺に墓。ああ誠に其
J09_0228B25: 行狀を云へば。只一箇の愚夫の如く。深く御遺誓を
J09_0228B26: 信受し。願生の心最も切にして一大事の往生をぞ
J09_0228B27: 遂させ玉へる。昔は大隅の隨願上人を。一機の別意
J09_0228B28: 樂と稱美し。鎭西上人は自ら内證あるかと讃じ玉ふ
J09_0228B29: 銘心鈔に出たり是の如く世を捨離れ。身命迄を投て。一紙の
J09_0228B30: 御遺誓を信じ玉ふ事。誠に志の至れるに非すや。此
J09_0228B31: 外自門佗門の高僧。智者學匠達人の。或は著述を以
J09_0228B32: て讃揚し。勸㢡し玉ひ。或は莫直に信して。但信稱
J09_0228B33: 名し玉へるもあり。且又上なき天子の綸言を下させ
J09_0228B34: 玉ひて。誓書一紙。固結四衆心と迄。恭しく示させ

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