浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J09_0226A01: | 意樂を述せば。餘法を捨れとも。餘法を不破餘法を |
J09_0226A02: | 貴へとも。餘法を用ひずと領知すべし。問一向專修の |
J09_0226A03: | 行者。餘法を捨れとも。餘法を破らすと云ふ事。如 |
J09_0226A04: | 何心得べきや。答捨ると云ふと。破ると云ふとは別 |
J09_0226A05: | 也。用ひすと云ひ。貴ぶと云ふも亦別也。佛神に就 |
J09_0226A06: | て是を云はは。或は辨天多門。地藏觀音等の形像を |
J09_0226A07: | 立て。朝暮恭敬禮拜するは貴みて用ると云ふ者也。 |
J09_0226A08: | 捨れとも破らずと云ふは。縁に依て種種の形像に向 |
J09_0226A09: | ふ時は。禮して敬ひ縁に隨ひ。聞法の事あれば拜し |
J09_0226A10: | て聽聞す。形像にも向はず。説法をも聞ざる時は。 |
J09_0226A11: | 不足の思ひもなく。求る心もなき也。斯の如くなる |
J09_0226A12: | は。敬て用ひざる也。破ると云ふには非ず。破ると |
J09_0226A13: | 云ふは。我こそ一向專修なれとて。佛像に向ふと |
J09_0226A14: | きも敬せず。聞法のときも拜せず。念佛の外は無益 |
J09_0226A15: | の事也とて。輕蔑するは破るなり。宗宗の所立。皆 |
J09_0226A16: | 以て其理あり。漫に謗るべからず。譬へば酒を呑む人 |
J09_0226A17: | 餠を嫌て。酒こそ所用の物なれ。餠は無益の物そと |
J09_0226B18: | 云んに。下戸の人是を許んや。又下戸の人。餠を好 |
J09_0226B19: | み。酒を嫌ふて。餠こそ所用の物なれ。酒は無益の |
J09_0226B20: | 物と云んに。上戸の人是を容んや。唯我口にあはぬ |
J09_0226B21: | と云ふ物にて社あれ。無益とは云ふべからず。然れ |
J09_0226B22: | とも下戸の人は。餠が上上の物なり。上戸の人は酒 |
J09_0226B23: | か上上の物なるが如く。往生を願ふ念佛の行者も。 |
J09_0226B24: | 雜行は我機に契ざるにて社あれ。無益とは云ふべか |
J09_0226B25: | らず。雜行とても佛法なれば。隨分に敬を作へし。 |
J09_0226B26: | 雜行を輕蔑する事勿れ。雜行は往生の行には。失多け |
J09_0226B27: | れば嫌ふ事也『然るに此御遺訓を。さらさらと看過 |
J09_0226B28: | して。唯安き事と心得なば。彼小兒が眞珠の珮を評 |
J09_0226B29: | ずるに異ならず。昔し尊者阿難。佛に白して言く。 |
J09_0226B30: | 如來は淨飯王の家に誕生して。已に出家し。樹下に |
J09_0226B31: | 坐する事。僅に六年なり。而して道を證て佛を得玉 |
J09_0226B32: | ふ。若し斯の如くならば。正覺を成ずる事は。易に |
J09_0226B33: | 非ずや。佛即ち阿難に告玉はく。昔し富祐の長者あ |
J09_0226B34: | り。衆の珍財寳物 悉く具りて乏き事なし。正赤色 |