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J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0226A01: 意樂を述せば。餘法を捨れとも。餘法を不破餘法を
J09_0226A02: 貴へとも。餘法を用ひずと領知すべし。問一向專修の
J09_0226A03: 行者。餘法を捨れとも。餘法を破らすと云ふ事。如
J09_0226A04: 何心得べきや。答捨ると云ふと。破ると云ふとは別
J09_0226A05: 也。用ひすと云ひ。貴ぶと云ふも亦別也。佛神に就
J09_0226A06: て是を云はは。或は辨天多門。地藏觀音等の形像を
J09_0226A07: 立て。朝暮恭敬禮拜するは貴みて用ると云ふ者也。
J09_0226A08: 捨れとも破らずと云ふは。縁に依て種種の形像に向
J09_0226A09: ふ時は。禮して敬ひ縁に隨ひ。聞法の事あれば拜し
J09_0226A10: て聽聞す。形像にも向はず。説法をも聞ざる時は。
J09_0226A11: 不足の思ひもなく。求る心もなき也。斯の如くなる
J09_0226A12: は。敬て用ひざる也。破ると云ふには非ず。破ると
J09_0226A13: 云ふは。我こそ一向專修なれとて。佛像に向ふと
J09_0226A14: きも敬せず。聞法のときも拜せず。念佛の外は無益
J09_0226A15: の事也とて。輕蔑するは破るなり。宗宗の所立。皆
J09_0226A16: 以て其理あり。漫に謗るべからず。譬へば酒を呑む人
J09_0226A17: 餠を嫌て。酒こそ所用の物なれ。餠は無益の物そと
J09_0226B18: 云んに。下戸の人是を許んや。又下戸の人。餠を好
J09_0226B19: み。酒を嫌ふて。餠こそ所用の物なれ。酒は無益の
J09_0226B20: 物と云んに。上戸の人是を容んや。唯我口にあはぬ
J09_0226B21: と云ふ物にて社あれ。無益とは云ふべからず。然れ
J09_0226B22: とも下戸の人は。餠が上上の物なり。上戸の人は酒
J09_0226B23: か上上の物なるが如く。往生を願ふ念佛の行者も。
J09_0226B24: 雜行は我機に契ざるにて社あれ。無益とは云ふべか
J09_0226B25: らず。雜行とても佛法なれば。隨分に敬を作へし。
J09_0226B26: 雜行を輕蔑する事勿れ。雜行は往生の行には。失多け
J09_0226B27: れば嫌ふ事也『然るに此御遺訓を。さらさらと看過
J09_0226B28: して。唯安き事と心得なば。彼小兒が眞珠の珮を評
J09_0226B29: ずるに異ならず。昔し尊者阿難。佛に白して言く。
J09_0226B30: 如來は淨飯王の家に誕生して。已に出家し。樹下に
J09_0226B31: 坐する事。僅に六年なり。而して道を證て佛を得玉
J09_0226B32: ふ。若し斯の如くならば。正覺を成ずる事は。易に
J09_0226B33: 非ずや。佛即ち阿難に告玉はく。昔し富祐の長者あ
J09_0226B34: り。衆の珍財寳物 悉く具りて乏き事なし。正赤色

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