浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0225A01: | 宗の中にも。何某の知識は心經をも讀ませ。施餓鬼を |
J09_0225A02: | も修し。又は祈禱の爲に百萬遍をも勤め。現世安穩 |
J09_0225A03: | にも回向して。後生善處を願求するこそ。誠に目出 |
J09_0225A04: | 度き敎とこそ云ふべきに。一向往生の爲計りと。片 |
J09_0225A05: | 向路なるは關通一流の勸めに。誑かされたる。偏局 |
J09_0225A06: | 者と名をや立つらん早くそれを捨て。安やすと後世 |
J09_0225A07: | 願ひ玉へと。一向專修をもどく事有んには。如何す |
J09_0225A08: | べき哉。實に其備へ無んば非ず。其時答て云ふべし。 |
J09_0225A09: | 佗の知識の御敎の旨。尤も寬大にして信ずる人多く |
J09_0225A10: | 有べけれとも。我等は然らず。先夫に付て一の物語あ |
J09_0225A11: | り。爰に或人の父。正に死せんと欲するとき。一子に |
J09_0225A12: | 遺言して。我死して後は。汝一切母の命に背くべから |
J09_0225A13: | ず。若母の命を背かば。即ち我遺言に違背する也と云 |
J09_0225A14: | て息絶たり。然るに此母一子を出家せさせんと云ふ。 |
J09_0225A15: | 其子も母の命に順して。出家せんと云ふ。側より是 |
J09_0225A16: | を止め妨る人あれば。何れに付べきや取どり區まち |
J09_0225A17: | の評議にして。决する事難し。其中多分は云ふ。設ひ |
J09_0225B18: | 出家を止るとも。是も親の遺跡なれば。世間を立る家 |
J09_0225B19: | 督を繼べし。何の母に背くことかあらんと。偶孝道に |
J09_0225B20: | 志す人有て云く。其遺跡を建るは。父母を顯んか爲 |
J09_0225B21: | ならずや。是父母に孝するなり。若夫父母に孝せん |
J09_0225B22: | と欲する者の。豈父母の遺言に違背せん耶。宜しく |
J09_0225B23: | 父母の命を守りて。早く出家入道すべし。何ぞ遺跡を |
J09_0225B24: | 建ることを須んと。今も亦其如く。持戒觀念。智解讀誦 |
J09_0225B25: | 息災延命の祈禱念佛。兒女誑惑の一念義等皆云ふ。是 |
J09_0225B26: | も亦佛法なり。何そ目出度念佛に非ずやと。時に一向 |
J09_0225B27: | 專修の。偏局者有て云。汝既に目出度佛法とならば。 |
J09_0225B28: | 我が唯願往生は。六方河沙の諸佛。舒舌三千の證誠 |
J09_0225B29: | をなし。一宗の大祖身を棄。法を護り。遺訓の誓をた |
J09_0225B30: | つ。嗚呼佛法の目出度。爰に過たる者のあらん哉。必 |
J09_0225B31: | 必誰誰も。ちと片向の路に趣き給へとよ。愚夫愚婦は |
J09_0225B32: | かく直に領納して。法門の善惡邪正は。少も論ぜず。 |
J09_0225B33: | 御遺訓の通り。唯往生極樂の爲に。一向に念佛してゆ |
J09_0225B34: | るぎなきを。御遺誓の力用とは云ふ也。御遺訓の立信 |