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J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0224A01: を修し。大般若を讀。さまざまの祈禱を盡しけれど
J09_0224A02: も。さらにしるしなし。いざや祐天和尚をたのまん
J09_0224A03: とて。羽生村の三郞左衛門。庄右衛門をもてまねき
J09_0224A04: しかど。夏中法問の折なれば。かなひがたくて。和
J09_0224A05: 尚をしへ給ふやう。そこ兩人行て。蠟燭一挺切に念
J09_0224A06: 佛せよと聞えしかば。我我が念佛にて。いかでかか
J09_0224A07: かる惡靈退くべきやといへば。祐天汝が念佛と我念
J09_0224A08: 佛と少しもかはらず。疑ふことなかれと。念頃に示し
J09_0224A09: 給ひけれは。次上に出す。阿波介か念佛と。源空か念佛と更に差別なしと。大師の敎示に依據し玉へり。兩人
J09_0224A10: とくと得悟して。在所より同行十四五人いざなひ。
J09_0224A11: かの村の者ども。相まじへ。五十人打より。敎のご
J09_0224A12: とく。一挺切の念佛勤めて。かへりしに。その曉。
J09_0224A13: 兩人の方へ。病家より。病人只今起あがり。いか計
J09_0224A14: の怨をもなさんと。おもひしに。はからざる貴き御
J09_0224A15: 吊にて。成佛を遂侍りしと。云より本心になりしと
J09_0224A16: いひこしけりと。新著聞集。第十三の卷。往生篇に出たり此一事見捨がたくて附錄し侍る。さては
J09_0224A17: 自の爲は勿論。他の爲にも。一向稱名相續して。共
J09_0224B18: に往生の本懷を遂玉へかし。專修行者。朝夕のつとめの惣回向の譯。亡者等の。別回向の品
J09_0224B19: は。別錄あり見るべし。
J09_0224B20: 第八力用門とは。力用とは何ぞや。いはく一枚起請
J09_0224B21: 文。見聞のはたらきを云ふ。御遺誓の一紙を拜見し
J09_0224B22: 聽聞して。决定信知すれば。現世には心行不退の働
J09_0224B23: きを成就し。當來には阿鞞跋致の位を得る事。唯此
J09_0224B24: 一紙を信用するにあり。所詮後世者の安心は。歌一
J09_0224B25: 首。紙一枚にすぎずといいし人も侍れば。愚夫愚婦の
J09_0224B26: 輩と云へとも。此一紙を眞實に見聞し。敎の如く信
J09_0224B27: 受せば。則ち往生の機心行を决擇して。何なる異學
J09_0224B28: 異見。別解別行の人の。敎導開諭にも。動亂破壞せ
J09_0224B29: られず。願行相續して。速に生死を得脱し。頓に極
J09_0224B30: 樂に往生せん事。それ掌を指が如くならん。是此御
J09_0224B31: 遺誓の力用也。爰に老尼有て上來梗槪八門の所説を
J09_0224B32: 聞て。一向專修の安心を定め。但信口稱の行者と成
J09_0224B33: れり。しかる所に有縁の知識。或は親縁の。雜修雜
J09_0224B34: 行の人等有て。妄に上の行者に反説して云ふ。淨土

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