浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0223A01: | 必すしも死縁に依て。往生の得不を定むべからず。 |
J09_0223A02: | 本願の信不に依て。往生の得不を决すべし。故に聲 |
J09_0223A03: | につきて。决定往生の思ひをなせとの玉へり。是を |
J09_0223A04: | 則ち化佛菩薩尋聲到。衆生稱念必得往生の本願とは |
J09_0223A05: | 申也。又大師御往生の後。三井寺の住心房と申學生 |
J09_0223A06: | ひじりの。夢のうちに問れしにあみた佛は全く風情 |
J09_0223A07: | もなく。ただ申事也と答へられきと。向師もただ聲 |
J09_0223A08: | を本願にまかせて。名號をとなふべきなりとの玉へ |
J09_0223A09: | り。又御傳に極樂のねがはしからず。念佛の申され |
J09_0223A10: | ざらんばかりは。往生のさはりなるべし。乃至相構へ |
J09_0223A11: | て願往生の心にて。念佛を相續すべきなりと。故に |
J09_0223A12: | 御遺訓に。たた往生極樂の爲には。南無阿彌陀佛と申 |
J09_0223A13: | 外には。別の子細候はすと侍れば。産前産後の子細 |
J09_0223A14: | を云はず。難産安産の子細をもいはず。宿感業報の |
J09_0223A15: | 子細を沙汰せず。宿善有無の子細をも沙汰せず。た |
J09_0223A16: | た申せは往生す。これをこそ大悲不簡擇の本願とは |
J09_0223A17: | 申らめ。返すかえす子細の沙汰に滯らず。往生せばや |
J09_0223B18: | と思ひ取て。南無阿彌陀佛と唱る人は。皆悉く御遺 |
J09_0223B19: | 誓の。攝機なりとしるべし。 |
J09_0223B20: | 附錄 |
J09_0223B21: | 念佛往生は人に依ぬと云ふ事。自身願生は勿論なり。 |
J09_0223B22: | 他の爲に回向するにも。修する人の善惡。修德の有 |
J09_0223B23: | 無。道心の有無を論ずる事なき。現證を云はば常州 |
J09_0223B24: | 松原村の嘉左衛門といへる百姓の妻は。美女にて。 |
J09_0223B25: | 夫婦の中むつましかりし。しかるに妻病で死すべき |
J09_0223B26: | 時に。我なき跡にて。後妻をむかへ給ふな。何條さ |
J09_0223B27: | ることあらんと。ことばを誓ひ。互に涙をしぼり。か |
J09_0223B28: | き口説。終に身まかりにけり。漸く月日もすき去て。 |
J09_0223B29: | 所の官より。妻なくてはかなはじとありけるぞ。樣 |
J09_0223B30: | 樣いなみけるが。遁れがたくて。後の妻をとりむか |
J09_0223B31: | へし。その夜より亡妻の怨靈來りて。夫の首筋に抱 |
J09_0223B32: | きつき。顏をさしのぞきける。その恨めしげなる粧 |
J09_0223B33: | ひ。えもいひがたしと。身ふるひして。恐れをのの |
J09_0223B34: | き。正氣をうしなひ侍り。天台宗の事なれば。護摩 |