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J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0222A01: 洗ひ玉ふや。佛國王及び衆會の者に告はく。如來の
J09_0222A02: 世の出る所以は。正く此窮厄無護の者を救ん爲なる
J09_0222A03: のみ。病瘦の沙門道士。及び諸の貧窮孤獨。老人を
J09_0222A04: 供養すれは。其福無量にして。所願意に任す。福の
J09_0222A05: 來る事。譬は五河の流の如し。功德漸く滿て。會ず
J09_0222A06: 當に道を得へし。時に王佛に白して言く。今此比丘。
J09_0222A07: 宿し何の罪有てか。困篤重病。年を積て療治すれと
J09_0222A08: も瘥ざる。佛王に告て曰。古昔國王あり。名て惡行
J09_0222A09: と云ふ。治政嚴暴にして。一人の多力伍伯をして。
J09_0222A10: 人を鞭ことを主とらしむ。伍伯王の威怒を假て。私
J09_0222A11: に寒熱を作す人を鞭んと欲するに臨て。其贜賄を求
J09_0222A12: む。物を得れは鞭事輕し。得ざれば便ち重し。故に
J09_0222A13: 國擧て是を患ふ。一人の賢者あり。人の爲に訴へら
J09_0222A14: る。鞭を得るに當て。伍伯に報して云く。吾は是佛
J09_0222A15: の弟子にして。もと罪過なし。人の爲に枉らる。願
J09_0222A16: くは。少し恕を埀よ。伍伯是を聞て。輕く鞭を過し。
J09_0222A17: 其身につけず。伍伯壽終て地獄に墮し。拷掠萬毒云
J09_0222B18: ふべからず。罪滅して後。出て畜生の中に墮して。
J09_0222B19: 恒に撾杖せらる事。五百餘世。罪報畢て。人と爲て常
J09_0222B20: に重病に嬰る。痛み身を離れず。爾時の國王は。今
J09_0222B21: の調達これなり。伍伯は病比丘なり。賢者は吾身こ
J09_0222B22: れ也。吾れ前世此か爲に恕せられ。鞭身に着ず。此
J09_0222B23: 故に今躬ら爲に是を洗ふ。人善惡を作ば。殃福身に
J09_0222B24: 隨ふ事。影の形を追が如く。免るる事を得べからず。
J09_0222B25: 玆に於て病比丘。佛の所説。宿命の事を聞て。自ら
J09_0222B26: 本行を知り。心を尅責すれば。即ち佛前に於て。患
J09_0222B27: る所除愈し。身心安穩にして。即ち阿羅漢の道を得
J09_0222B28: たりと。已上法句譬喩經。第二之卷刀杖品第十八の説。又元亨釋書怪異の部に。宿感の事實數件。又法苑珠林。宿報の部類等
J09_0222B29: 見へし。地獄道の苦毒劫數を經て畜生五百餘世の苦報を
J09_0222B30: 受け。人間に來生して。佛弟子と成れとも。尚重病
J09_0222B31: にかかり報ひを受く。况や濁末五障の女人。何ぞ宿
J09_0222B32: 報を免んや。爾れば念佛仰信の婦人。宿業免れ難く
J09_0222B33: して。難産にて命終すとも。念佛だに申せば。往生
J09_0222B34: 何の疑ひかあらん。死縁無量なり。宿業計り難し。

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