浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0219A01: | ども。のぼらざる法の峯日本中に。女人結界地。六十余箇所ありとぞあり。ふま |
J09_0219A02: | ざる佛の庭あり。耻哉兩眼あきらかなりといへども。 |
J09_0219A03: | 見ざる靈地あり。拜せざる靈像あり。この穢土の瓧 |
J09_0219A04: | 礫荊棘の山。泥木素像の佛だにも障あり。いかにい |
J09_0219A05: | はんや衆寳合成の淨土。萬德究竟の佛をや。これに |
J09_0219A06: | よりて往生それ疑ひあるべし。かるがゆへに。此理 |
J09_0219A07: | をかがみて別に此願あり。善導和尚この願を釋して |
J09_0219A08: | の給はく。彌陀の大願力によるがゆへに。女人佛の |
J09_0219A09: | 名號を稱すれば。命終の時女身を轉じ。男子となる |
J09_0219A10: | ことを得。彌陀御手をさつけ。菩薩身をたすけて。寳 |
J09_0219A11: | 華の上に坐し。佛にしたがひて往生し。佛の大會に |
J09_0219A12: | いりて。無生を證悟す。一切の女人。もし彌陀の名 |
J09_0219A13: | 願力によらすは。千劫萬劫恒沙等の劫にも。つゐに |
J09_0219A14: | 女身を轉ずることを得へからずといへり。是則女人の |
J09_0219A15: | 苦をぬき。樂をあたふる慈悲の誓願利生なりと。是 |
J09_0219A16: | 一切の女人の出離解脱は。彌陀の淨土に非ずして孰。 |
J09_0219A17: | 彌陀の名號に非ずして孰。自餘の諸善諸行を以て。生 |
J09_0219B18: | 死得脱の叶ひ難き旨。法華經提婆品に分明なり。又 |
J09_0219B19: | 云。或とき尋常なる尼女房とも。吉水の御房へまい |
J09_0219B20: | りて。つみふかき女人も。念佛だに申せは。極樂へ |
J09_0219B21: | 叅り候なるは。まことにて候やらんと申けれは。上人 |
J09_0219B22: | 大經のこころをねんごろに申のべられて。第十八願 |
J09_0219B23: | の上に疑ひをたたんがために。とりはき女人往生の |
J09_0219B24: | 願をたて給へる事。まことにたのもしくかたしけなき |
J09_0219B25: | よしを仰られければ。歡喜の涙をながし。みな念佛 |
J09_0219B26: | 門に入にけると。是の如く大師慈愍をもて。女人安 |
J09_0219B27: | やすと往生すべき旨を。敎諭開導し玉へばこそあれ。 |
J09_0219B28: | 必す餘の僻説臆談に迷ふ事なく。もはら大悲の本願 |
J09_0219B29: | を賴み。裏なく偏に稱名相續して。變成男子の往生 |
J09_0219B30: | を遂玉ふべし。『偖産死の者は大地を汚穢する故に。 |
J09_0219B31: | 血池地獄に墮すると云へる。妄解をやらんが爲に。 |
J09_0219B32: | 一の證を引ば是不簡擇の例證也。御傳第二十六之卷に出武藏の國の御家人。 |
J09_0219B33: | 猪俣黨に。甘糟の太郞忠綱と云者侍りき。ふかく上 |
J09_0219B34: | 人に歸し念佛の行をこたりなかりけりしかるに山門 |