ウィンドウを閉じる

J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0218A01: 自然と顯す也。爾るに彌陀如來は。無窮無盡の大悲
J09_0218A02: をもて。別て女人往生の大願を建玉へりと敎勸在す
J09_0218A03: 其趣き御傳並に和漢語燈錄。三經私記等に分明なり。
J09_0218A04: 今一件を出さん。勅傳第十八之卷上人大經を釋し給ふとき。
J09_0218A05: 四十八願の中の。第三十五の。女人往生の願の意を
J09_0218A06: のへての給はく。上の念佛往生の願は男女をきらは
J09_0218A07: ず。しかるに今別に此願ある。そのこころいかん。
J09_0218A08: つらつらこのことを案ずるに。女人はさはりおもし。
J09_0218A09: 別して女人に約せずは。すなはち疑心を生ずへし。
J09_0218A10: 其故は女人はとがおもし。大梵高臺の閣にもへたて
J09_0218A11: られて。梵衆梵輔の雲をのぞむことなく。帝釋柔軟の
J09_0218A12: 床にもくだされて。三十三天の華をもてあそぶことな
J09_0218A13: し。六天魔王の位。四種輪王の跡。のぞみ永くたえ
J09_0218A14: て。かげをささず。生死有漏の果報。無常生滅のつ
J09_0218A15: たなき身とだにもならず。いかに况や佛のくらゐを
J09_0218A16: や。私云已上は法華經。提婆品の意なり。諸經論の中にきらはれ諸經論の中に嫌るとは。女人
J09_0218A17: 在所には地獄ありと説。或は外面は菩薩に似て。内心は夜叉の如しとも。或は女人は地獄の使なりとも。或は女人は百惡の長也とも。或は
J09_0218B18: 大蛇を見るとも。女人を見るべからずとも。或は女人を見れば。眼の功德を失ふとも。説玉へり在在所所に擯出
J09_0218B19: せられて。三途八難にあらずば。趣くべきかたもな
J09_0218B20: く。六趣四生にあらずば。受べきかたちなし。この日
J09_0218B21: 本にも靈地靈驗の砌には。みなことことくきらはれ
J09_0218B22: たり。比叡山は。傳敎大師の建立大師みづから結界し
J09_0218B23: て。谷をさかひ峯をかぎりて。女人の形をいれず。さ
J09_0218B24: れば一乘峯たかくして。五障の雲たなびくことなく。
J09_0218B25: 一味谷ふかくして。三從の水ながるることなし。高野
J09_0218B26: 山は。弘法大師結界の峯。眞言上乘繁昌の地なり。
J09_0218B27: 三密の月あまねく照すといへども。女人非器の闇を
J09_0218B28: てらさず。五瓶の智水ひとしく流るといへども。女
J09_0218B29: 人垢穢のあかをばすすがず。聖武天皇の御願十六丈
J09_0218B30: 金銅の舍那。はるかにこれを拜見すといへとも。な
J09_0218B31: を扉のうちにはいれられず。天智天皇の建立五丈石
J09_0218B32: 像の彌勒。あふぎてこれを禮拜すれども。なを壇の
J09_0218B33: 上には障あり。乃至金峯の雲のうへ。醍醐の霞のそ
J09_0218B34: こ。女人さらにかげをささず。悲哉兩足ありといへ

ウィンドウを閉じる