浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0216A01: | とかく論じけるを上人きき給ひて。魚くふもの往生 |
J09_0216A02: | せんには。鵜ぞせんずる。魚くはぬもの往生せんに |
J09_0216A03: | は。猿ぞせんする。くふにもよらず。くはぬにもよ |
J09_0216A04: | らず。ただ南無あみた佛と申もの往生はするぞと。 |
J09_0216A05: | 源空はしりたるなりと。此所を能呑込て。唯念佛申 |
J09_0216A06: | もの往生することを必至と心得へし。さればとて。念 |
J09_0216A07: | 佛申者は。如何樣放逸にても。苦しからずと云ふに |
J09_0216A08: | 非ず。左樣に心得てん者は。如何に念佛申とも惡無 |
J09_0216A09: | 過の邪見なるが故に。往生すべからず。世間出世の |
J09_0216A10: | 因果を破りては。佛法立へからず。上の法語を依據 |
J09_0216A11: | として。往生は食にもよらずとて。魚を食は。是非 |
J09_0216A12: | 理作意なり。くうにもよらず。くはぬにも依らずと云 |
J09_0216A13: | は。唯其くうくはぬは。別段のことにして。往生は |
J09_0216A14: | 只念佛にてするぞと云事を云はんが爲なり。在家も |
J09_0216A15: | 往生すればとて。出家に在家の眞似せよと云ふには |
J09_0216A16: | 非ず。在家は在家ながら。出家は出家ながらにて。 |
J09_0216A17: | 念佛して往生す。是本願の十方衆生の句にして。大 |
J09_0216B18: | 師の其身がらを改めずに。申して往生するぞと仰ら |
J09_0216B19: | れし所也。是の如く攝機門を立るとき。更に漏る者な |
J09_0216B20: | く。蜎飛蠕動の類までも。十方衆生に攝せらるる。 |
J09_0216B21: | 不簡擇の本願こそ。世に有難く覺ゆれ。『されは人間 |
J09_0216B22: | たる女身の。爭か十方衆生の誓ひに漏る事あらんや。 |
J09_0216B23: | 既に五障三從の障り重くて。三世諸佛に捨はてられ。 |
J09_0216B24: | 十方淨土にも擯出せられたるを。彌陀獨り愍み玉ひ。 |
J09_0216B25: | 第三十五の本願を。女人の爲に建玉へり。如何なる |
J09_0216B26: | 如來の大悲なればか。此重障の者を。偏に哀れみ玉 |
J09_0216B27: | ふらん。されば男子は。一の願に乘ずるに。女人は |
J09_0216B28: | 二の願に乘ずれば。往生の方計りは。女人こそ卻て |
J09_0216B29: | 浦山しけれと。本より阿彌陀如來は。女人成佛の本 |
J09_0216B30: | 尊なるを。動もすれは。産死石女の如きは。假令何 |
J09_0216B31: | 程念佛すとも。死すれは血池地獄に墮ち。燈心をも |
J09_0216B32: | て。竹の根を掘るぞと云はば。是甚しき誑語なり。 |
J09_0216B33: | 邪説なり。傷むべし悲むべし。是等は本願唯稱不簡 |
J09_0216B34: | 擇の大悲を知らずして。人を誑惑する妄説也。導師 |