浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0215A01: | も。迂廻にして溺死を救ひ得ざるが如く。戒定惠の |
J09_0215A02: | 三學誦咒讀經等の諸行は。何れも生死滅度の法なり |
J09_0215A03: | といへとも。我等下根には成辨し難し。生死輪回何 |
J09_0215A04: | を以てか遣んや。ああ賢しな溫公の手段。ああ尊ひ |
J09_0215A05: | 哉。彌陀の本願。三毒五欲。流轉の迷境に着し溺れ |
J09_0215A06: | て死すべき我等を大悲本願の。南無阿彌陀佛の石一 |
J09_0215A07: | つ投付れば。三界の水甕忽ち打破れ。六道の沉淪速 |
J09_0215A08: | に免脱して。煩惱妄想の濁水と共に。二十五有の甕 |
J09_0215A09: | を西方へ流れ出て。頓て八功德池の七珍寳岸に湛ん |
J09_0215A10: | 事。豈賴母しきには侍らずや。今但石一つ持揚る程 |
J09_0215A11: | の働きさへあれば。生死の水甕を打破る樣に。名號 |
J09_0215A12: | を唱ふる程の事さへあれば。生死の水甕を打破るな |
J09_0215A13: | り。水甕を破るは石の力らなり。生死を破るは。併 |
J09_0215A14: | ら南無阿彌陀佛と唱る。口稱名號の威神力にして。 |
J09_0215A15: | 我等が業に非ず。全く阿彌陀如來。大願業力の秘術 |
J09_0215A16: | 也。されば本文に。南無阿彌陀佛と申外には。別の |
J09_0215A17: | 子細候はすと宣へり。又大師勸ての玉はく。念佛の |
J09_0215B18: | 行者の現世をすぐべきやうは。念佛の申されんかた |
J09_0215B19: | によりてすぐべし。念佛のさはりとなりぬべからん |
J09_0215B20: | 事をばいとひすつべし。謂く一所にて申されずは。 |
J09_0215B21: | 修行して申すべし。修行して申されずば一所に住し |
J09_0215B22: | て申べし。ひじりて申されずば。在家になりて申べ |
J09_0215B23: | し。在家にて申されずば。遁世して申べし。ひとり |
J09_0215B24: | こもり居て申されずば。同行と共行して申べし。共 |
J09_0215B25: | 行して申されづば。一人こもり居て申べし。衣食か |
J09_0215B26: | なはすして申されずば。佗人にたすけられて申べし。 |
J09_0215B27: | 佗人のたすけにて申されずば。自力にて申べし妻子 |
J09_0215B28: | も從類も。自身たすけられて。念佛申さんがためな |
J09_0215B29: | り。念佛のさはりになるべくは。ゆめゆめもつべか |
J09_0215B30: | らず。所知所領も。念佛の助業とならば大切なり。 |
J09_0215B31: | 妨にならばもつべからずと。是士農工商の。稱名す |
J09_0215B32: | るに便りを敎玉へる勸進に非すや。又人びとの後世 |
J09_0215B33: | の事申けるついでに往生は魚食ふものこそすれとい |
J09_0215B34: | ふ人あり。或は魚食せぬものこそすれといふ人あり。 |