ウィンドウを閉じる

J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0215A01: も。迂廻にして溺死を救ひ得ざるが如く。戒定惠の
J09_0215A02: 三學誦咒讀經等の諸行は。何れも生死滅度の法なり
J09_0215A03: といへとも。我等下根には成辨し難し。生死輪回何
J09_0215A04: を以てか遣んや。ああ賢しな溫公の手段。ああ尊ひ
J09_0215A05: 哉。彌陀の本願。三毒五欲。流轉の迷境に着し溺れ
J09_0215A06: て死すべき我等を大悲本願の。南無阿彌陀佛の石一
J09_0215A07: つ投付れば。三界の水甕忽ち打破れ。六道の沉淪速
J09_0215A08: に免脱して。煩惱妄想の濁水と共に。二十五有の甕
J09_0215A09: を西方へ流れ出て。頓て八功德池の七珍寳岸に湛ん
J09_0215A10: 事。豈賴母しきには侍らずや。今但石一つ持揚る程
J09_0215A11: の働きさへあれば。生死の水甕を打破る樣に。名號
J09_0215A12: を唱ふる程の事さへあれば。生死の水甕を打破るな
J09_0215A13: り。水甕を破るは石の力らなり。生死を破るは。併
J09_0215A14: ら南無阿彌陀佛と唱る。口稱名號の威神力にして。
J09_0215A15: 我等が業に非ず。全く阿彌陀如來。大願業力の秘術
J09_0215A16: 也。されば本文に。南無阿彌陀佛と申外には。別の
J09_0215A17: 子細候はすと宣へり。又大師勸ての玉はく。念佛の
J09_0215B18: 行者の現世をすぐべきやうは。念佛の申されんかた
J09_0215B19: によりてすぐべし。念佛のさはりとなりぬべからん
J09_0215B20: 事をばいとひすつべし。謂く一所にて申されずは。
J09_0215B21: 修行して申すべし。修行して申されずば一所に住し
J09_0215B22: て申べし。ひじりて申されずば。在家になりて申べ
J09_0215B23: し。在家にて申されずば。遁世して申べし。ひとり
J09_0215B24: こもり居て申されずば。同行と共行して申べし。共
J09_0215B25: 行して申されづば。一人こもり居て申べし。衣食か
J09_0215B26: なはすして申されずば。佗人にたすけられて申べし。
J09_0215B27: 佗人のたすけにて申されずば。自力にて申べし妻子
J09_0215B28: も從類も。自身たすけられて。念佛申さんがためな
J09_0215B29: り。念佛のさはりになるべくは。ゆめゆめもつべか
J09_0215B30: らず。所知所領も。念佛の助業とならば大切なり。
J09_0215B31: 妨にならばもつべからずと。是士農工商の。稱名す
J09_0215B32: るに便りを敎玉へる勸進に非すや。又人びとの後世
J09_0215B33: の事申けるついでに往生は魚食ふものこそすれとい
J09_0215B34: ふ人あり。或は魚食せぬものこそすれといふ人あり。

ウィンドウを閉じる