浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0213A01: | もなかりつるほどに。こひかなしみ給ふ御心。さぞ |
J09_0213A02: | やるかたもなくおぼしめしけん。しかるに我等いま。 |
J09_0213A03: | 本家をおもひいでで。はじめて父の名をよばひたち |
J09_0213A04: | ぬ。このなむあみだ佛のこゑを。聞しめしつけぬる |
J09_0213A05: | よろこひ。またをきどころなくおぼしめすべし。さ |
J09_0213A06: | れば十萬億土のみちを中にして。毎日に千返まて行 |
J09_0213A07: | 者のところにはきたり給らん。やうこそかはれ。か |
J09_0213A08: | しこきさとりある心までも。なを子を思ふみちには。 |
J09_0213A09: | まよふなりけりと。誠に尊辨僧正の爲には。唯此懸 |
J09_0213A10: | 子こそ親子對面の媒にて侍れば。是こそ至て大切な |
J09_0213A11: | れ。我等が至切の珍寳は。彼戰塲の身方の語に山と |
J09_0213A12: | 問は河と答ふ樣に。南無阿彌陀佛と唱れば。必生我國 |
J09_0213A13: | の。還念の相圖言をしるべにて。父子相迎の媒にては |
J09_0213A14: | ある也。『法照禪師の五會讃に。彼佛因中立弘誓聞 |
J09_0213A15: | 名念我惣迎來不簡貧窮將富貴不簡下智與高 |
J09_0213A16: | 才不簡多聞持淨戒不簡破戒罪根深但使廻心 |
J09_0213A17: | 多念佛能令瓧礫變成金といへるは。持戒も。破戒 |
J09_0213B18: | も。機のよしあしは更にもいはず。但南無阿彌陀佛 |
J09_0213B19: | と唱れば石瓧を變して。金となす如くに。往生成佛 |
J09_0213B20: | するもの也。さる程に天子のいつくしき。玉の冠 |
J09_0213B21: | を西にかたふけ。月卿のかしこき。金の笏を東にた |
J09_0213B22: | だしくす。皇后のこびたる。韋提夫人のあとををひ。 |
J09_0213B23: | 傾城のことんなき。五百侍女のよそほひをまなぶ。 |
J09_0213B24: | しかるあひだ。とめるば。をごりてもてあそび。ま |
J09_0213B25: | づしきはなげきてともとす。農夫がすきをふむ。念 |
J09_0213B26: | 佛をもて田うたとし。織女がいとをひく。念佛をも |
J09_0213B27: | てたてぬきとす。鈴をならす驛路には。念佛を唱へ |
J09_0213B28: | て鳥をとり。船はたをたたく海上には。念佛をとな |
J09_0213B29: | へて魚をつる雪月華を見る人は。西樓に目をかけ。 |
J09_0213B30: | 琴詩酒をもてあそぶともがらは。西の枝の梨子をお |
J09_0213B31: | る。これみな彌陀をあがめざるをば瑕瑾とし。珠數 |
J09_0213B32: | をくらざるをば耻辱とす。ここをもて華族英才なり |
J09_0213B33: | といへども。念佛せざるをはおとしめ。乞匈非人な |
J09_0213B34: | りといへども。念佛するをばもてなすと。是皆能令 |