浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J09_0205A01: | して。且つ勸を不須なり。無智の人を調て機具を勸 |
J09_0205A02: | むるが。大悲本願の深意に順し。宗祖本懷の正意にも |
J09_0205A03: | 的れば。もはら單直仰信の機具を勸進すべき也。さき |
J09_0205A04: | の敎勸に依れば。稱ふる刹那は等持の定心あれとも。 |
J09_0205A05: | 其人の因等起は。如何と分別すべし。修行地に於て |
J09_0205A06: | は。因等起こそ肝要なれ。刹那は雜起すとも。初念 |
J09_0205A07: | の發願と。後心の回向とにてくくれば。中間は赦さ |
J09_0205A08: | るる方もあれば。往生せはやの因等起を。僞りかざ |
J09_0205A09: | らぬ樣にぞ勸まほし。刹那等起。業を成ぜす。由重 |
J09_0205A10: | 惑淨心。及是恒所作なれば也。所詮頑愚は。生得を其 |
J09_0205A11: | 儘にたた口に信せて申し。智者は學知をそれ乍ら。 |
J09_0205A12: | 唯聲に擧て申し居たるは。其申す當躰に。何の智慧 |
J09_0205A13: | も何の才覺も用る所なき。それを還愚とは云ふなめ |
J09_0205A14: | り。されば念佛の人を救ふ。めつたに申せば往生す |
J09_0205A15: | るぞとだに。心得れば。智惠の指出る。すきまはな |
J09_0205A16: | き也。斯心得て智者も愚者もたた申しに申し。ひら |
J09_0205A17: | 申しに唱へ居たるを單直仰信還愚癡とは云ふ也唯是 |
J09_0205B18: | 口に任せて申し。聲に立て申外には。別の子細なき |
J09_0205B19: | 也と。冏師の解釋十八通。及び直牒等に見へたり。 |
J09_0205B20: | 實に稱我名號の本願ならば。誦經の聲も。陀羅尼の |
J09_0205B21: | 聲も。本願に順ぜず。元より琴三味線の聲。笛太鼓 |
J09_0205B22: | の聲。愁ひ嘆きの聲。歡び喜の聲諷誦謠吟歌の聲。 |
J09_0205B23: | 華に囀る鶯の聲。水に遊ふ蛙の聲。乃至岸打浪の音 |
J09_0205B24: | 松吹風の聲まても。皆是本の誓ひに背けり。されば |
J09_0205B25: | 只南無阿彌陀佛と。出る聲のみぞ。優優しく本願に |
J09_0205B26: | は叶ふなれば。阿彌陀佛と唱る外はよしもなき。難 |
J09_0205B27: | 波の聲も。あしかりぬべきと心得るぞ。此門の敎相 |
J09_0205B28: | なるべし。 |
J09_0205B29: | 追加 |
J09_0205B30: | 十六門記聖覺法印の記に云く。有時鎭西の聖光房と。聖覺と。 |
J09_0205B31: | 但兩人。上人の御前にて。法門聽聞しける時。聖光 |
J09_0205B32: | 房尋申て云く。仰で本願を信じ。實に往生を願すれ |
J09_0205B33: | とも。妄念鎭に起りて止め難く。散亂彌彌倍て靜 |
J09_0205B34: | ならず。此條如何が候哉。上人答へ玉はく。妄念を |