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J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0205A01: して。且つ勸を不須なり。無智の人を調て機具を勸
J09_0205A02: むるが。大悲本願の深意に順し。宗祖本懷の正意にも
J09_0205A03: 的れば。もはら單直仰信の機具を勸進すべき也。さき
J09_0205A04: の敎勸に依れば。稱ふる刹那は等持の定心あれとも。
J09_0205A05: 其人の因等起は。如何と分別すべし。修行地に於て
J09_0205A06: は。因等起こそ肝要なれ。刹那は雜起すとも。初念
J09_0205A07: の發願と。後心の回向とにてくくれば。中間は赦さ
J09_0205A08: るる方もあれば。往生せはやの因等起を。僞りかざ
J09_0205A09: らぬ樣にぞ勸まほし。刹那等起。業を成ぜす。由重
J09_0205A10: 惑淨心。及是恒所作なれば也。所詮頑愚は。生得を其
J09_0205A11: 儘にたた口に信せて申し。智者は學知をそれ乍ら。
J09_0205A12: 唯聲に擧て申し居たるは。其申す當躰に。何の智慧
J09_0205A13: も何の才覺も用る所なき。それを還愚とは云ふなめ
J09_0205A14: り。されば念佛の人を救ふ。めつたに申せば往生す
J09_0205A15: るぞとだに。心得れば。智惠の指出る。すきまはな
J09_0205A16: き也。斯心得て智者も愚者もたた申しに申し。ひら
J09_0205A17: 申しに唱へ居たるを單直仰信還愚癡とは云ふ也唯是
J09_0205B18: 口に任せて申し。聲に立て申外には。別の子細なき
J09_0205B19: 也と。冏師の解釋十八通。及び直牒等に見へたり。
J09_0205B20: 實に稱我名號の本願ならば。誦經の聲も。陀羅尼の
J09_0205B21: 聲も。本願に順ぜず。元より琴三味線の聲。笛太鼓
J09_0205B22: の聲。愁ひ嘆きの聲。歡び喜の聲諷誦謠吟歌の聲。
J09_0205B23: 華に囀る鶯の聲。水に遊ふ蛙の聲。乃至岸打浪の音
J09_0205B24: 松吹風の聲まても。皆是本の誓ひに背けり。されば
J09_0205B25: 只南無阿彌陀佛と。出る聲のみぞ。優優しく本願に
J09_0205B26: は叶ふなれば。阿彌陀佛と唱る外はよしもなき。難
J09_0205B27: 波の聲も。あしかりぬべきと心得るぞ。此門の敎相
J09_0205B28: なるべし。
J09_0205B29: 追加
J09_0205B30: 十六門記聖覺法印の記に云く。有時鎭西の聖光房と。聖覺と。
J09_0205B31: 但兩人。上人の御前にて。法門聽聞しける時。聖光
J09_0205B32: 房尋申て云く。仰で本願を信じ。實に往生を願すれ
J09_0205B33: とも。妄念鎭に起りて止め難く。散亂彌彌倍て靜
J09_0205B34: ならず。此條如何が候哉。上人答へ玉はく。妄念を

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