浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J09_0200A01: | わきまへざる。愚癡の法然房が。念佛して往生せん |
J09_0200A02: | と。されば顯眞明遍等の。智者學匠達の。但信稱名 |
J09_0200A03: | し玉へるは。皆是解信還愚癡の機なり。所詮は解信 |
J09_0200A04: | 仰信共に。往生の一大事に於ては。一向口稱念佛に |
J09_0200A05: | 過たるはなしと。决定信知し玉ふべし故に本文〓こ |
J09_0200A06: | の外に奧ふかきことを存せは。二尊の憐にはつれ本願 |
J09_0200A07: | にもれ候へしと。起請誓言を成玉ひて後。淨土宗の |
J09_0200A08: | 安心起行。此一紙に至極せり。源空が所存此外に。 |
J09_0200A09: | 全く別義を存せす。滅後の邪義を防かんかために。 |
J09_0200A10: | 所存を記し畢とは筆を止め玉へり。能能思量せずは |
J09_0200A11: | 有べからず。是唯稱の行者ならでは。御遺訓の敎相 |
J09_0200A12: | に叶はざる事見つべし。『されば此門の詮ずる所は。 |
J09_0200A13: | 仰信を第一の正機とし。解信を第二の傍の機とする |
J09_0200A14: | 辨別にあり。凡そ淨宗の意は。本爲凡夫。兼爲聖人 |
J09_0200A15: | とて。下機下劣。愚鈍無智。造惡不善なる。罪根深 |
J09_0200A16: | 重の輩を勸誘して。往生せしむるを專要とす。さて |
J09_0200A17: | こそ諸宗超過の法門大悲究竟の説敎とも申すらめ。 |
J09_0200B18: | 低人の長くらべには。ひくきを勝とし。本願の往生 |
J09_0200B19: | 較には罪者を先とす。大悲の利益は等流の身。殊に |
J09_0200B20: | 劣機に近付て。強剛の衆生を利する慈悲勝れたりと。 |
J09_0200B21: | 古德もの玉へり。爰をこそ大師も。淨土一宗の諸宗 |
J09_0200B22: | にこえ。念佛一行の諸行にすくれたりといふことは。 |
J09_0200B23: | 萬機を攝するかたをいふなり。乃至罪をいへば。十惡 |
J09_0200B24: | 五逆の罪人なり。老少男女のともがら。一念十念の |
J09_0200B25: | たくひにいたるまで。みなこれ攝取不捨の誓にこも |
J09_0200B26: | れるなり。このゆへに諸宗にこえ。諸行に勝れたり |
J09_0200B27: | とは申なりと。又信寂房に對して。機根くらべには。 |
J09_0200B28: | 源空かちたりきと宣へり。問本願のいはれをも知り。 |
J09_0200B29: | 名號の躰用をも解り。安心起行等の沙汰。細細と學 |
J09_0200B30: | し。理に折て一向稱名の行者と成たらんは。仰信分 |
J09_0200B31: | の人よりも信力堅固にして。異見の爲にも傾動せら |
J09_0200B32: | れじ。然らば解信の人は。ゆゆしく勝れたる成べし。 |
J09_0200B33: | 故に大師も無智の道心者はわびてがてら也との玉へ |
J09_0200B34: | り。何ぞ淨宗の本意。解信を第二とし。仰信を先と |