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J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0197A01: 業力。爲增上縁也とも。正由託佛願。以作強縁致使五
J09_0197A02: 乘齊入とも云へり。記主禪師の云く。癡直之心速出
J09_0197A03: 生死他力之心不問善惡一世之回願入無漏境
J09_0197A04: 濟凡絶倫豈非要益已上解信仰信の。義相を辨す。自下は對待比挍。解信と仰信
J09_0197A05: とを對待するに。仰信は勝れ解信は劣れる也。孔子
J09_0197A06: の曰く。生而 知之者上也學而知之者次也困而
J09_0197A07: 學之又其次也困而不學民斯爲下矣凖へ知る。單刀
J09_0197A08: 直入。單直仰信は生而知者に似たり。解信還愚は。
J09_0197A09: 學而知と。困而學もの乎中庸に曰く或生而知之或學
J09_0197A10: 而知之或困而知之及其知之一也と。是仰信も解
J09_0197A11: 信も共に。佛願を賴て。名號を唱ふる所は一なるに
J09_0197A12: 唯比ふべし。又曰く或安而行之或利而行之或勉強
J09_0197A13: 而行之及其成功一也と。上根の者も。下根のもの
J09_0197A14: も。數返の者も。一念の者も。願ふ心に僞りなくは。往
J09_0197A15: 生の功を成ずる事。全く一にして。同く佛の迎に預
J09_0197A16: り。共に華の臺に登るべし。鴨の脛の短く。鶴の足
J09_0197A17: の長き。倶に其用を達す。むかでの足多き。虵の足
J09_0197B18: なき。道をとるに及では皆一也足は運轉を用とする
J09_0197B19: こと。氣質等しからざれは也。今ただ賴む心僞らず。
J09_0197B20: まことしく往生を願ひ。口に南無阿彌陀佛と唱へな
J09_0197B21: ば。むかでの解信も。へびの仰信も。往生するに至
J09_0197B22: ては。其矩一にして。足の多少も徒ら事に成ぬ。『又
J09_0197B23: 醫者の病ひたるに。他の醫師の藥を服するを。解信
J09_0197B24: 還愚に凖へ。常人の疾ひに。醫の療治を受るは。仰
J09_0197B25: 信に喩ふべし。詮ずる所。此一枚起請文の本意は。
J09_0197B26: 唯仰信の機に蒙らしむ。耆婆が諸病を治する。諸の
J09_0197B27: 藥艸藥樹を集て。萬病阿伽陀藥を調合せり。爾るに
J09_0197B28: 病者は。藥木何兩。藥艸何程とも又其艸木の功能を
J09_0197B29: 知らねとも。服する時は諸病忽に愈。是唯仰き信し
J09_0197B30: て飮計り也。然るに此丸藥の分際にて我重病はいか
J09_0197B31: がと疑ひて飮ざれば。耆婆扁鵲が醫術を盡せる藥方
J09_0197B32: も。空しくして其驗あるべからず。それをこそ大師
J09_0197B33: も。彌陀の名號もかくのことし。それ煩惱惡業の病。
J09_0197B34: きはめておもし。いかがこの名號をとなへて。むまる

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