浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0195A01: | 御上意の譯を能く合點して。上意の通りを奉行ふ |
J09_0195A02: | が如し。仰信は御上意の筋譯はつゆ知らねとも。上 |
J09_0195A03: | 意の通りに信するが如し。又喩へば仰信の機は渡し |
J09_0195A04: | 塲へ到て。只舟賃を投出して。舟に飛乘て向の岸に |
J09_0195A05: | 着くか如し。三心の名をも知らず。本願と云ふわけ |
J09_0195A06: | も知らねとも。ただ南無阿彌陀佛と申せば。極樂へ |
J09_0195A07: | 參ると聞て。一向南無阿彌陀佛南無阿彌陀佛と。舟賃を申出 |
J09_0195A08: | して本願の舟に乘なり。是を本文にはたた往生極樂 |
J09_0195A09: | のためには。南無阿彌陀佛と申て。疑ひなく往生する |
J09_0195A10: | そと思ひとりて申外には。別の子細候はすといへり。 |
J09_0195A11: | さて又解信の機とは。此渡をば何とか云ふ。答日本二の大河。 |
J09_0195A12: | 富士川渡し守は一人か二人か。答こぐ所は。ただ二人なれども。渡し守は。岩淵一郷なり。 |
J09_0195A13: | 公儀渡しか。自分渡しか。答公儀渡にして。御朱印百石あり。朝は何時よ |
J09_0195A14: | り始め。晩は何時にしまふぞ。答朝何時。晩何時と云ふ。かぎりなし。舟は |
J09_0195A15: | 松の木か。杉か檜か。答木は万木の最上の檜なり。幾年先に作りたる |
J09_0195A16: | や。答年數の定りなし。先は十年づづなり。今日は浪風はいかが。答風雨波浪のせんぎな |
J09_0195A17: | くわたし候舟賃は何文そ。答御定は十文なれども。一文より。六十七十文迄とり候。士農工商 |
J09_0195B18: | 共に同じ事か。答四民同じことなり。などど問定め見究め抔して |
J09_0195B19: | 乘るが如し。是己が三學を以て。聖道淨土の二門を |
J09_0195B20: | 研究して淨土門に入りたる人は。最初此渡塲は。何 |
J09_0195B21: | とか云ふと尋ぬるが如し。これ西方の通津なり渡し守を尋ぬる |
J09_0195B22: | は釋迦は發遣し。彌陀は引攝し。諸佛は證誠護念し。 |
J09_0195B23: | 同心同勸歟。觀音勢至も。弘誓の舟を。掉玉ふか抔の |
J09_0195B24: | 義を會得するなり。公儀渡しか自分渡しかとは。今此 |
J09_0195B25: | 淨敎は。橫超頓斷の法門なれば。諸宗共許なりや。は |
J09_0195B26: | た爾らざるやと問なり。朝は何時より等と。正像末に |
J09_0195B27: | 通ずるや通ぜぬやの理り也。舟は松の木か等とは。 |
J09_0195B28: | 本願の行躰を知る也浪風等とは。妄念の起不起を論 |
J09_0195B29: | ずるなり。舟賃何錢とは。念佛の多少を云ふ也士農 |
J09_0195B30: | 工商も同とは善惡の衆機。五乘齊入を云ふなり。此 |
J09_0195B31: | 等の道理を聞定め。三心四修五念等の。法數を習ひ |
J09_0195B32: | 極むるは。學解なれとも。本願は唯稱に極まると心 |
J09_0195B33: | 得。而も三心等の之乎者也は南無阿彌陀佛に造り著 |
J09_0195B34: | たる事ぞと思ひ取。助玉への心にて。ひたすら南無 |