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J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0190A01: 能ク養コトヲ至マテ於犬馬ニ皆能有養コト。不ンハ敬セ者。何以別ンヤ乎。朱子カ註ニ。人畜犬馬ヲ皆能有以養コト之ヲ若能ク養ヲ其親ヲ而敬不ンハ至。與
J09_0190A02: 養フ犬馬ヲ者何ソ異ナヲン。甚言不敬ノ之罪ヲ所―以ナリ深ク警ムル之ヲ也。今も亦爾り。本願唯稱に
J09_0190A03: して。唯往生極樂の爲と敬せずんば。何を以てか諸
J09_0190A04: 師の勸進と異を分たん。爾るを或師。唯稱の本願な
J09_0190A05: れば。ただ申しに申しだにすればよし。申させだに
J09_0190A06: すればよし。縱令祈禱二世安樂の念佛成とも申せ。
J09_0190A07: 終には往生するぞと勸るあり。是敬とや云はん。不
J09_0190A08: 敬とや云はん。上來の文義に凖ずるに。不敬の甚し
J09_0190A09: き。これに過たるはなし。若二世安樂と回向せば豈
J09_0190A10: 餘事回願に非ずや。若少一心。即不得生の責遁れ難
J09_0190A11: し。如何如何。此は是唯申しの念佛にはあらず。愼
J09_0190A12: めや愼めや。實に往生が遂たくて。口に南無阿彌陀
J09_0190A13: 佛と申さるるこそ。一枚起請文の宗骨要領なれ。さ
J09_0190A14: れば大師の傳へには。南無阿彌陀佛といふことは。別
J09_0190A15: たる事とは心うへがらず。あみだほとけわれをたす
J09_0190A16: けたまへと。いふことばとこころえて。心にはたすけ
J09_0190A17: たまへとおもひ。口に南無阿彌陀佛ととなふるを。
J09_0190B18: 三心具足の念佛とは申なりと。古歌にただ申せ申う
J09_0190B19: ちにはをのつから三つの心もありけるものをと讀し
J09_0190B20: は。全く願生行者の念佛なり。豈童男童女の無觀無
J09_0190B21: 解の稱名にて。往生する如きは。二世安樂の。慮知
J09_0190B22: 分別にも亘らず。又至心信樂のわけをもしらす。唯
J09_0190B23: 口に南無阿彌陀佛と唱る聲直に本願に順す爰を以て
J09_0190B24: 如來の大悲。攝化引接し玉ふもの也。其現證を出さ
J09_0190B25: ば。短彰童子。俗名は三之助。尾州海東郡。中一色
J09_0190B26: 村。圓成律寺の門前。義助と云へる。貧しき百姓の
J09_0190B27: 子にして。生年六歳餘兒に勝れたるいたつら者也。
J09_0190B28: 爾るに村中の習ひとして。老少男女。分に應して。
J09_0190B29: 悉く日課を受く。此子出生の砌より。母此子に代り
J09_0190B30: て十遍の課佛を誓約し。唱ること四年なり。已に四
J09_0190B31: 歳にも成けれは。彼に讓りて唱へしむ毎夜睡りにつ
J09_0190B32: くときに。十聲唱へざれば臥す事をゆるさず。其餘
J09_0190B33: はいたつらのみして暮し侍る。爾るに寬延三年五月
J09_0190B34: 十日。晝八過る頃。腹痛む由を告れとも其分に捨て

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