浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0190A01: | 能ク養コトヲ至マテ於犬馬ニ皆能有養コト。不ンハ敬セ者。何以別ンヤ乎。朱子カ註ニ。人畜犬馬ヲ皆能有以養コト之ヲ若能ク養ヲ其親ヲ而敬不ンハ至。與 |
J09_0190A02: | 養フ犬馬ヲ者何ソ異ナヲン。甚言不敬ノ之罪ヲ所―以ナリ深ク警ムル之ヲ也。今も亦爾り。本願唯稱に |
J09_0190A03: | して。唯往生極樂の爲と敬せずんば。何を以てか諸 |
J09_0190A04: | 師の勸進と異を分たん。爾るを或師。唯稱の本願な |
J09_0190A05: | れば。ただ申しに申しだにすればよし。申させだに |
J09_0190A06: | すればよし。縱令祈禱二世安樂の念佛成とも申せ。 |
J09_0190A07: | 終には往生するぞと勸るあり。是敬とや云はん。不 |
J09_0190A08: | 敬とや云はん。上來の文義に凖ずるに。不敬の甚し |
J09_0190A09: | き。これに過たるはなし。若二世安樂と回向せば豈 |
J09_0190A10: | 餘事回願に非ずや。若少一心。即不得生の責遁れ難 |
J09_0190A11: | し。如何如何。此は是唯申しの念佛にはあらず。愼 |
J09_0190A12: | めや愼めや。實に往生が遂たくて。口に南無阿彌陀 |
J09_0190A13: | 佛と申さるるこそ。一枚起請文の宗骨要領なれ。さ |
J09_0190A14: | れば大師の傳へには。南無阿彌陀佛といふことは。別 |
J09_0190A15: | たる事とは心うへがらず。あみだほとけわれをたす |
J09_0190A16: | けたまへと。いふことばとこころえて。心にはたすけ |
J09_0190A17: | たまへとおもひ。口に南無阿彌陀佛ととなふるを。 |
J09_0190B18: | 三心具足の念佛とは申なりと。古歌にただ申せ申う |
J09_0190B19: | ちにはをのつから三つの心もありけるものをと讀し |
J09_0190B20: | は。全く願生行者の念佛なり。豈童男童女の無觀無 |
J09_0190B21: | 解の稱名にて。往生する如きは。二世安樂の。慮知 |
J09_0190B22: | 分別にも亘らず。又至心信樂のわけをもしらす。唯 |
J09_0190B23: | 口に南無阿彌陀佛と唱る聲直に本願に順す爰を以て |
J09_0190B24: | 如來の大悲。攝化引接し玉ふもの也。其現證を出さ |
J09_0190B25: | ば。短彰童子。俗名は三之助。尾州海東郡。中一色 |
J09_0190B26: | 村。圓成律寺の門前。義助と云へる。貧しき百姓の |
J09_0190B27: | 子にして。生年六歳餘兒に勝れたるいたつら者也。 |
J09_0190B28: | 爾るに村中の習ひとして。老少男女。分に應して。 |
J09_0190B29: | 悉く日課を受く。此子出生の砌より。母此子に代り |
J09_0190B30: | て十遍の課佛を誓約し。唱ること四年なり。已に四 |
J09_0190B31: | 歳にも成けれは。彼に讓りて唱へしむ毎夜睡りにつ |
J09_0190B32: | くときに。十聲唱へざれば臥す事をゆるさず。其餘 |
J09_0190B33: | はいたつらのみして暮し侍る。爾るに寬延三年五月 |
J09_0190B34: | 十日。晝八過る頃。腹痛む由を告れとも其分に捨て |