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J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0184A01: 是故念勸聲聲起念不忘佛有此益故法藏比丘立
J09_0184A02: 稱名願實望凡夫時萬善萬行中稱名第一行仰案
J09_0184A03: 佛願意感涙難押矣。これに付て。心は聲を引立。聲は心を叩催す。初心の行者は心前行後。久修の者は。
J09_0184A04: 行前心後なり等。委く記主上人の了簡あり。近く西要抄上卷の終りの。諺註に出たりげにも五劫思惟。
J09_0184A05: 兆載永劫に。打返し。打返し。熏し込たる本願の名
J09_0184A06: 號なれば。唯此南無阿彌陀佛の聲のみぞ。御心には
J09_0184A07: 止るべけん曾て修行も思惟もましまさぬ。餘善諸行
J09_0184A08: の聲とては。御耳にもかけ玉はず。さてこそ我等が
J09_0184A09: 命ちなる。此賜こそ貴けれ若夫佛通力ましまさずは。
J09_0184A10: 祈禱念佛も。本願稱名も打ち聞く所の南無阿彌陀佛。
J09_0184A11: の聲のけぢめは別れじを。聞聲自在の我か佛こそ。
J09_0184A12: 阿那難有おぼえ侍れ思在于内色顯于外思風發
J09_0184A13: 於胷憶言泉流於唇齒とて。唐の湖州に趙三官と云
J09_0184A14: ふ商人あり。周生と共に南京へ商ひに行んと約束せ
J09_0184A15: しが。已に其日。趙三官夜深く出て。河口へ行き。
J09_0184A16: 水手の張潮が舟に乘り。周生を待けるが。しばし睡
J09_0184A17: れる程に。水手彼三官を殺して。海に沈め腰の金を
J09_0184B18: 劫盜し。高鼾して熟睡を詐り現す。所へ周生來る。
J09_0184B19: 三官未來と思ひて水手をして呼しむ。水手三官か
J09_0184B20: 門を叩き其妻を呼起し。事の由を告れば。妻驚きて
J09_0184B21: 曰く。二時計りさきに。既に出つと。水手歸りて。周
J09_0184B22: 生に告く。周生膽を潰し。舟より上りて。趙三官の
J09_0184B23: 妻と共に。三日が間。方方を尋ねけれとも。行方知
J09_0184B24: れざりければ。周生思ふ樣。若此者出ざる時は必ず
J09_0184B25: 我か難に成りなんず。人に云はれぬ先に。此方より
J09_0184B26: 公儀へ申上んと思ひとり。此趣を有の儘に書付奉行
J09_0184B27: へ訴へければ。役人評議して曰。趙三官か妻。貞節
J09_0184B28: を亂り。密夫に殺させたる成べしと。されとも證據
J09_0184B29: なかりける所に。揚平事と云ふ奉行。此趣を委しく
J09_0184B30: 聞き。判斷せられけるは。水手の者呼に來りし時。
J09_0184B31: 門を叩き。趙三官を呼ずして。女房に聲をかけける
J09_0184B32: 事不審し。急ぎ此水手を僉議すべしとて。いろいろ
J09_0184B33: 拷問せられければ。終に白狀して。沈めし所より死
J09_0184B34: 骸をさがし出せりと。是正しく女房を呼たる聲に付

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