浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0183A01: | も非ず。智惠を磨けるにも非ず。只平に名號を唱へ |
J09_0183A02: | たる迄にて。別の修法はあらねとも。稱名が正定業 |
J09_0183A03: | と成て。佛の本願に乘して往生を遂げたるなり。此 |
J09_0183A04: | 等の類ひ。枚擧に遑あらず。又熊谷の蓮生。讃岐の |
J09_0183A05: | 源大夫。長明發心集に出伊豫の安西。鎌倉の平氏正信。此等 |
J09_0183A06: | の人は。戒行もなく。智惠もなく。慈悲は申すに及 |
J09_0183A07: | ばす。生涯の間。殺生劫盜を生活とせる。意樂起惡 |
J09_0183A08: | の人なれとも。臨終に心を翻し。一脉に稱名して。 |
J09_0183A09: | 現證あらたに。往生相違なきは。稱名念佛が。本願 |
J09_0183A10: | の正定業なる譯も。いよいよ著し。大利讃に云く。 |
J09_0183A11: | 一聲一念名號の。功德を云へば。恒河沙の。金銀瑠 |
J09_0183A12: | 璃の妙塔を。成滿せるにも勝れたりと若それ寳塔起 |
J09_0183A13: | 造を以て本願とし。佛像建立を以て本願とし。或は |
J09_0183A14: | 三寳供養を以て本願とし。或は布施持戒等の。諸善 |
J09_0183A15: | を以て本願とし玉はば。貧賤孤獨の輩は。手を拱 |
J09_0183A16: | て助る期あるべからず。爰を以て如來。平等の大悲。 |
J09_0183A17: | 唯稱名を以て。衆生を攝取し玉ふ。故に大師は南無 |
J09_0183B18: | 阿彌陀佛と申外には。別の子細なし。唯一向に念佛 |
J09_0183B19: | すへしと。遺訓し玉へり。唯是往生の道には。本願 |
J09_0183B20: | の稱名。正定業には及ぶものなき事は。此正定業は。 |
J09_0183B21: | 如來の大悲心より。發し玉へる本願。生因の妙行な |
J09_0183B22: | るが故也。爰を以て。布施持戒造像起塔等の。疎雜の |
J09_0183B23: | 諸行。及ひ正の爲の。助業をも廢し。觀念義解の念佛 |
J09_0183B24: | をも閣きて本願の稱名を勸進し。遺誓し玉ふ也已上捨閉閣抛 |
J09_0183B25: | の。所以を辨じ畢ぬ。已下は唯稱を。本願とし玉へる由を明して。自然と唯稱の德義を述て。御遺訓の宗旨を結成す『誠に別 |
J09_0183B26: | 願超世の名號は。佗力不思議のいはれにて。口に任て |
J09_0183B27: | 唱ふれば。聲に生死の罪消ぬと。古賢も稱讃し玉へり |
J09_0183B28: | 爰に蓮華谷云念在内言彰外行者信佛欣心深故出 |
J09_0183B29: | 聲而唱南無阿彌陀佛也以此義故行者三業不離 |
J09_0183B30: | 彌陀彌陀因中五劫思惟遙鑑此理發稱名願矣 |
J09_0183B31: | 勝願院云凡夫行中稱名最勝所以然者雖修自餘妙 |
J09_0183B32: | 行其心散漫而不相續其行難成唯稱名行常不忘 |
J09_0183B33: | 佛故成决定業謂心忘佛時口稱名號其聲入我 |
J09_0183B34: | 耳引起我心念心念若起此念亦助聲令唱佛名 |