浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0181A01: | 末代時機相應の行なれば。偏に正中の正の。稱名の |
J09_0181A02: | 一行を專修せよとの御遺訓也。さてこそ本文に。觀 |
J09_0181A03: | 念の念にもあらす。又念のこころを悟りて申念佛に |
J09_0181A04: | もあらすと觀念義解を簡び去て。たた南無阿彌陀佛 |
J09_0181A05: | と申外には別の子細なしとはの玉へり。かく捨閉閣 |
J09_0181A06: | 抛し玉ふ所以は阿彌陀如來因位の昔し。菩薩たりし |
J09_0181A07: | 時。平等大悲。極愛一子の誓願より起りたる。選擇 |
J09_0181A08: | 本願の稱名なればなり。爰を以て大師も。平等普益 |
J09_0181A09: | を存知し。唯稱名の一行を宗旨と遺訓し玉へり。此 |
J09_0181A10: | 故に南無阿彌陀佛と申べし。申だにすれば往生は决 |
J09_0181A11: | 定なり。唯申す聲本願に順するが故也。爾れば念佛 |
J09_0181A12: | は我等が所作。往生は如來の業也と。打信せて。唯 |
J09_0181A13: | 申す。念佛にて。往生すべき支度をば。五劫の昔し |
J09_0181A14: | 構へ置玉へる本願なりと。いと安く思ひとる。是其 |
J09_0181A15: | 大旨也。勢ひ二乍ら成せす。道は一道淸淨を貴ぶ所 |
J09_0181A16: | 以也。『さて又此御遺誓の宗旨を。委く知らんと欲せ |
J09_0181A17: | ば。先一宗の大旨を明むべし。大凡そ淨土宗に立る |
J09_0181B18: | 所は。如來一代の敎法品異に。行門道區區に別れ |
J09_0181B19: | たりといへとも若其要を論せば。唯二種あり。一に |
J09_0181B20: | は聖道門。唯是自力を以て。戒定慧の三學を勵まし。 |
J09_0181B21: | 此娑婆穢土にありて。佛道を成就す。爾るに此土 |
J09_0181B22: | は。惡縁障礙多きが故に。十に九は退く。是故に此門 |
J09_0181B23: | を難行道と名く。二には淨土門。是即ち佗力によつて |
J09_0181B24: | 仰て佛願を信じ。伏して名號を唱れば十は十ながら |
J09_0181B25: | 淨土に往生して。速かに無上菩提を證得す。又彼國 |
J09_0181B26: | は如來の願力。別業の所感なれば。善縁のみなるが |
J09_0181B27: | 故に。唯進む計りにて退く事なし。故に此門を易行 |
J09_0181B28: | 道と名づく。然れば則ち聖道門は。上代正像の兩時尚 |
J09_0181B29: | もて難行なり。何况や末法をや。是故に愚癡迷亂の凡 |
J09_0181B30: | 夫は。依行するによしなし。淨土の一宗は。末法の |
J09_0181B31: | 濁世も亦是易行なり。何况や上代をや。是故に五逆 |
J09_0181B32: | 謗法の惡人も。稱念すれば同く往生を得。ここを以 |
J09_0181B33: | て聖道門を捨て。淨土門を取る此一重は。安樂集に依て。敎相と定て。選擇集の第一 |
J09_0181B34: | 章に擧玉へり。又此淨土門に付て十方に淨土あれとも。九方 |