浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0180A01: | 『第五宗旨門とは。此一枚起請文の。むねとする所 |
J09_0180A02: | 云何と云ふに倩倩以に夫無觀無解の但信稱名にあ |
J09_0180A03: | り。本文にたた往生極樂の爲には南無阿彌陀佛とあ |
J09_0180A04: | るが一枚起請文の肝也。神也。眼也。骨髓なるが故 |
J09_0180A05: | に宗旨とは云ふなり。さればこそあみた佛といふよ |
J09_0180A06: | り外はつのくにのなにはのこともあしかりぬへしとは |
J09_0180A07: | 詠じ玉ひたり。御歌のこころは。唯往生極樂の爲に |
J09_0180A08: | は。餘行をさながら差置て。正定業の稱名を一向に |
J09_0180A09: | 用ゆべし。其稱名もなにとなく。本願を信し。决定 |
J09_0180A10: | して往生せんと思ひて。助給へ南無阿彌陀佛と申外。 |
J09_0180A11: | 別の子細なしとなり。山公の註解也此たすけ玉へ南無阿彌 |
J09_0180A12: | 陀佛と唱ふるが。第一の心得也。爾るに此事眞實に知 |
J09_0180A13: | る人なしと。古德も歎きて云く。心の專不專を論せ |
J09_0180A14: | す。南無阿彌陀佛と唱ふる聲こそ。專要と眞實に思 |
J09_0180A15: | ふ人かなき也と。大師は。南無阿彌陀佛といふ事は。 |
J09_0180A16: | 別したる事とは心うへからす。心にあみたほとけ。 |
J09_0180A17: | 助給へと思ひて。口に南無阿彌陀佛といふなりと。 |
J09_0180B18: | 又煩惱の厚き薄きをもかへり見す。罪業の重き輕き |
J09_0180B19: | をも沙汰せす。たた口に南無阿彌陀佛と申て。聲に付 |
J09_0180B20: | て决定往生の思ひをなせと。又念佛申程の人の往生 |
J09_0180B21: | せぬはなしとの玉ひ。向師至要决は南無阿彌陀佛と申。 |
J09_0180B22: | こゑこゑ本願にかなふなりと。又はただ聲を本願に |
J09_0180B23: | まかせて。名號をとなふへきなりとも又正定業義南無阿彌 |
J09_0180B24: | 陀佛と出る聲。本願に順すとも云へり。阿彌陀佛本 |
J09_0180B25: | 發深重誓願。以光明名號。攝化十方と。故に一一願 |
J09_0180B26: | 言稱我名號とも。衆生稱念必得往生とも。望佛本願 |
J09_0180B27: | 意在衆生。一向專稱彌陀佛名ともあれは。唯申せ |
J09_0180B28: | ば即ち萬機普益。平等攝取の。大悲誓願に契格す。 |
J09_0180B29: | 唯但の二字餘縁をからずといへば。唯は一乘の謂な |
J09_0180B30: | り。直牒第五卷出故に大師は。念佛は全く風情もなし。只申 |
J09_0180B31: | より外の事なしとの玉へり。歌にたた申す只とおも |
J09_0180B32: | はて只申せ申がたたの只申なりと。若餘縁をからば |
J09_0180B33: | 唯に非ず。即ち別の子細なり。選擇集の廢立等の三義 |
J09_0180B34: | 只正修を以て專とす。是佛の本願に順するか故なり。 |