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J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0180A01: 『第五宗旨門とは。此一枚起請文の。むねとする所
J09_0180A02: 云何と云ふに倩倩以に夫無觀無解の但信稱名にあ
J09_0180A03: り。本文にたた往生極樂の爲には南無阿彌陀佛とあ
J09_0180A04: るが一枚起請文の肝也。神也。眼也。骨髓なるが故
J09_0180A05: に宗旨とは云ふなり。さればこそあみた佛といふよ
J09_0180A06: り外はつのくにのなにはのこともあしかりぬへしとは
J09_0180A07: 詠じ玉ひたり。御歌のこころは。唯往生極樂の爲に
J09_0180A08: は。餘行をさながら差置て。正定業の稱名を一向に
J09_0180A09: 用ゆべし。其稱名もなにとなく。本願を信し。决定
J09_0180A10: して往生せんと思ひて。助給へ南無阿彌陀佛と申外。
J09_0180A11: 別の子細なしとなり。山公の註解也此たすけ玉へ南無阿彌
J09_0180A12: 陀佛と唱ふるが。第一の心得也。爾るに此事眞實に知
J09_0180A13: る人なしと。古德も歎きて云く。心の專不專を論せ
J09_0180A14: す。南無阿彌陀佛と唱ふる聲こそ。專要と眞實に思
J09_0180A15: ふ人かなき也と。大師は。南無阿彌陀佛といふ事は。
J09_0180A16: 別したる事とは心うへからす。心にあみたほとけ。
J09_0180A17: 助給へと思ひて。口に南無阿彌陀佛といふなりと。
J09_0180B18: 又煩惱の厚き薄きをもかへり見す。罪業の重き輕き
J09_0180B19: をも沙汰せす。たた口に南無阿彌陀佛と申て。聲に付
J09_0180B20: て决定往生の思ひをなせと。又念佛申程の人の往生
J09_0180B21: せぬはなしとの玉ひ。向師至要决は南無阿彌陀佛と申。
J09_0180B22: こゑこゑ本願にかなふなりと。又はただ聲を本願に
J09_0180B23: まかせて。名號をとなふへきなりとも又正定業義南無阿彌
J09_0180B24: 陀佛と出る聲。本願に順すとも云へり。阿彌陀佛本
J09_0180B25: 發深重誓願。以光明名號。攝化十方と。故に一一願
J09_0180B26: 言稱我名號とも。衆生稱念必得往生とも。望佛本願
J09_0180B27: 意在衆生。一向專稱彌陀佛名ともあれは。唯申せ
J09_0180B28: ば即ち萬機普益。平等攝取の。大悲誓願に契格す。
J09_0180B29: 唯但の二字餘縁をからずといへば。唯は一乘の謂な
J09_0180B30: り。直牒第五卷出故に大師は。念佛は全く風情もなし。只申
J09_0180B31: より外の事なしとの玉へり。歌にたた申す只とおも
J09_0180B32: はて只申せ申がたたの只申なりと。若餘縁をからば
J09_0180B33: 唯に非ず。即ち別の子細なり。選擇集の廢立等の三義
J09_0180B34: 只正修を以て專とす。是佛の本願に順するか故なり。

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