ウィンドウを閉じる

J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0179A01: 定信受すべきもの也。○第五の起請は。八十四帝順德
J09_0179A02: 院の御宇。建曆二壬申歳正月廿三日。大師御壽算滿八十正しく臨
J09_0179A03: 末の御遺訓。一枚起請文是也。御傳四十五。勢觀上人の傳也。委く縁起門出御一
J09_0179A04: 生勸進の。本願稱名を。末代の我等衆生に。信受し
J09_0179A05: 决定せしめんとの御誓言也。此等の意を得て躰性と
J09_0179A06: すべし。魏誌に曰く。千鈞之弩者不爲鼷鼠而發
J09_0179A07: 機百石之車不爲斗升之粟用矣是れ假初の小事
J09_0179A08: の爲には。誓言起請し玉はず。今は出離生死。一大事
J09_0179A09: 因縁の。往生極樂の爲の。起請誓言ぞと云ふ事を。
J09_0179A10: 宜しく弩車に凖ふへし。誠に愼み謹て决信すべきは。
J09_0179A11: 起請誓言の一紙也。世人既に云ふ。君が一日の思に
J09_0179A12: は百年の命を捨つと。御年四十三の春より。滿八十
J09_0179A13: に至らせ玉ふまで。年月を惜み。時日を數へ。呼吸
J09_0179A14: を諍ひて。日夜稱名し玉へる事は。偏へに出離の一
J09_0179A15: 大事を。遣迎の敎勸に任せ。本願に乘じて。極樂往
J09_0179A16: 生を期し玉ふ御身がらの。已に大漸の期旦夕に迫り
J09_0179A17: 到れるに及で。我等衆生を顧み玉ひて。二尊の憐に
J09_0179B18: はつれ本願にもれ候へしとは。思ひ切て宣へる。御心
J09_0179B19: の内さこそわりなき一子の慈悲。遣方なさの餘り成
J09_0179B20: らめ。玆に至て信根を决定せずは。直に大師罔極の慈
J09_0179B21: 恩に違背するのみならず。二尊諸佛を疑ひ奉るに成
J09_0179B22: もの。罪是より大なるは有べからず。俯して恐るべ
J09_0179B23: し。仰て信ずべし。我等は是多聞多見の德功もなく。
J09_0179B24: 又更に財色を遠離し。妻子を離別し。望を斷ち世を遁
J09_0179B25: れ。身を捨。命を輕んずるにしも非ずして。生得その
J09_0179B26: 身其儘にて。唯何となく。口に任せて南無阿彌陀佛と
J09_0179B27: 申居たる計りにて。さすが安安と。往生程の一大事
J09_0179B28: を遂ん事。是偏に御遺訓の慈恩。起請誓言の烈功な
J09_0179B29: らずや。嗟呼慈恩の高廣なること。須彌頂より高く。
J09_0179B30: 四大海より廣し。たとひ塵沙劫を經て。身命を捧ぐ
J09_0179B31: とも。一毛の恩德をも報じ難からん。須く肌骨に銘
J09_0179B32: じ。心識に刻て。報謝し奉るべきは。唯往生極樂の
J09_0179B33: 爲の。但信稱名の敎示なり。仰ぎ願くは。願生同舟
J09_0179B34: の人人。深く此旨を信知し玉へとよ。已上躰性門畢

ウィンドウを閉じる