浄土宗全書を検索する
AND検索:複数の検索語をスペースで区切って入力すると、前後2行中にそれらを全て含む箇所を検索します。
巻_頁段行 | 本文 |
---|---|
J09_0171A01: | 後尚以猥異義依之雖病床臥給此一紙を申請處也 |
J09_0171A02: | 爲不殘疑滯上人御自筆御判形令注置給處如 |
J09_0171A03: | 件。正月廿八日源智とはしるし玉へり。依て以て自 |
J09_0171A04: | ら。一枚起請文とは號し奉るもの也。且つ起請誓言 |
J09_0171A05: | の上に。手印華押まてを添玉へり。爲證以兩手印 |
J09_0171A06: | 云へる是なり。本朝の習ひにして。往古より大切の |
J09_0171A07: | 證文には。兩手を以て印とせり。鎭西の授手印。豈異事を證せんや。知るへし。 |
J09_0171A08: | もと神代に初りて押手など云ふ。世間に手形と云へ |
J09_0171A09: | るも此古事なるへし。今大師一切衆生。出離生死の一 |
J09_0171A10: | 大事を。決定證明し玉ふ御遺言なる故に。誓言起請の |
J09_0171A11: | 上に。又叮嚀に兩手印を用ひ。書判迄も添玉へり。是 |
J09_0171A12: | 誓言起請は。能く事を成するの警策なり。例せば佛 |
J09_0171A13: | 在世に微玅尼と云ふあり阿羅漢果を得て後ち。諸の |
J09_0171A14: | 尼衆に向て。過去生の善惡因果の事を説玉ふ中に云 |
J09_0171A15: | く。昔し一人の長者あり。本妻あれとも子なき故に。 |
J09_0171A16: | 小婦を寵愛し。程なく男子を産せり。其形ち美しき |
J09_0171A17: | 事珠の如し。長者これを悅び。我紫摩金也と重んず。 |
J09_0171B18: | 大婦嫉妬の心甚だ深くして是を殺さんとして。密に |
J09_0171B19: | 鐵針を儲て此子の頂に打入る。是に依て煩て遂に死 |
J09_0171B20: | す。小婦謂らく。極めて大婦の害せるなるべしとて。 |
J09_0171B21: | おめき叫んで深く悲嘆せり。大婦是を聞て我所爲に |
J09_0171B22: | 非る由を諍ひ。則ち罪を免ん爲に誓言を立つ。此誓言は。虚 |
J09_0171B23: | 妄假令に立たり。因果長者經の中にもあり。我若汝が子を害したらんに於ては。 |
J09_0171B24: | 生生世世女身を受。かたらひそふ所の夫必大虵にさ |
J09_0171B25: | し殺され生る子は水に漂よひ。或は犲に食はれ。或 |
J09_0171B26: | は自から我子の肉を食はん。又父母の家は失火し。 |
J09_0171B27: | 燒亡し。父母も同く燒死すべし。又我身は生ながら |
J09_0171B28: | 土中に埋められん抔。種種怖ろしき誓言しけり。か |
J09_0171B29: | かる上はとて長者も小婦も遂に心解けぬ。爰に大婦 |
J09_0171B30: | は壽盡て死す。小婦か子を殺害せし罪に依て。先地 |
J09_0171B31: | 獄に墮して烔燃猛火に燒かれ。或は紅蓮の寒氷に閉 |
J09_0171B32: | ぢられ。其外惡道を廻る事。我舍宅の如し。幾千萬劫 |
J09_0171B33: | 經終て漸く地獄の業盡て後。人中の女身を受て。遂 |
J09_0171B34: | に嫁して一男子を産し。又一子を孕めり。月滿るに |