浄土宗全書を検索する
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| 巻_頁段行 | 本文 |
|---|---|
| J09_0169A01: | 往生極樂の爲には南無阿彌陀佛と申て。疑ひなく往 |
| J09_0169A02: | 生するそと思ひとりて申外には。別の子細候はすと |
| J09_0169A03: | はの玉へり。然れは子細を存ずとは。或は人を擇びた |
| J09_0169A04: | り。或は心扱を敎へたり。子細がましき義を云ふ也。 |
| J09_0169A05: | あやまりても。戒の持犯に往生の得不を决し。機の |
| J09_0169A06: | 善惡に來迎の有無を定め。或は修行の多少。信心の |
| J09_0169A07: | 強弱を論じ。或は口傳の奧義。相傳の祕術に事をよ |
| J09_0169A08: | せ。或は臨終の祥瑞。死相のよしあしを認るなん |
| J09_0169A09: | どの。種種の差別を存して。往生を妨ぐべからず。 |
| J09_0169A10: | 今此遺訓の興る所以は。上の如き子細がましき事を |
| J09_0169A11: | 沙汰せず。只往生極樂の爲と存して。但信稱名を專 |
| J09_0169A12: | 修せよと。勸進する計り也。故に大師常に勸て。煩 |
| J09_0169A13: | 惱のうすくあつきをもかへりみず。罪障の輕き重き |
| J09_0169A14: | をも沙汰せず。たた口に南無阿彌陀佛と申て。その |
| J09_0169A15: | 聲につきて。决定往生のおもひをなせとの玉へり。 |
| J09_0169A16: | 斯安らかに勸誘するこそ御遺誓の正意なれ。然るを |
| J09_0169A17: | 種種の子細を存する人人は。如來の大悲。平等誓願 |
| J09_0169B18: | の慈恩を。しかとも顧りみず。誠に無慚の事なり。 |
| J09_0169B19: | 近頃予が面り。耳目に觸る處の。往生人の中に。關忠 |
| J09_0169B20: | 法子。七歳林岳智圓童女。四歳樹山了誓童子。八歳短彰童子。六歳 |
| J09_0169B21: | 信立童子。四歳慈傾童子。十一歳祐心童女。六歳夏山了淸童女。 |
| J09_0169B22: | 十三歳誓運童女。四歳此等の類は。父母親族の稱名するを |
| J09_0169B23: | 自然と聞訓ひ。わづか十返二十返の日課を相續して |
| J09_0169B24: | 現證あらたなる往生し侍りぬ。斯等は各別に安心の |
| J09_0169B25: | 憶得もなく。厭欣の思慮あるにしも非ず。唱る聲本 |
| J09_0169B26: | 願に順ずる故に。佛力不可思議の妙術の致す所なら |
| J09_0169B27: | ん乎。將宿習熏發。果遂の本願に乘ずる人にもやあら |
| J09_0169B28: | ん。荀子に蓬生麻中不扶而直と云へり。善友に順 |
| J09_0169B29: | へば。麻中の蓬の。麻につれて直きが如く。今大師 |
| J09_0169B30: | 所勸の本意も亦爾り。稱名本願の直く質なる麻の中 |
| J09_0169B31: | に。極惡凡夫の。邪曲たる蓬を植れば。機の善惡。 |
| J09_0169B32: | 信の有無を云はず。唯南無阿彌陀佛と申せば。その |
| J09_0169B33: | まま本願に引立られて。念佛の聲即决定の業なる事。 |
| J09_0169B34: | 掌を指が如くなるもの。此敎の興る所以んのみ。敎 |