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J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0169A01: 往生極樂の爲には南無阿彌陀佛と申て。疑ひなく往
J09_0169A02: 生するそと思ひとりて申外には。別の子細候はすと
J09_0169A03: はの玉へり。然れは子細を存ずとは。或は人を擇びた
J09_0169A04: り。或は心扱を敎へたり。子細がましき義を云ふ也。
J09_0169A05: あやまりても。戒の持犯に往生の得不を决し。機の
J09_0169A06: 善惡に來迎の有無を定め。或は修行の多少。信心の
J09_0169A07: 強弱を論じ。或は口傳の奧義。相傳の祕術に事をよ
J09_0169A08: せ。或は臨終の祥瑞。死相のよしあしを認るなん
J09_0169A09: どの。種種の差別を存して。往生を妨ぐべからず。
J09_0169A10: 今此遺訓の興る所以は。上の如き子細がましき事を
J09_0169A11: 沙汰せず。只往生極樂の爲と存して。但信稱名を專
J09_0169A12: 修せよと。勸進する計り也。故に大師常に勸て。煩
J09_0169A13: 惱のうすくあつきをもかへりみず。罪障の輕き重き
J09_0169A14: をも沙汰せず。たた口に南無阿彌陀佛と申て。その
J09_0169A15: 聲につきて。决定往生のおもひをなせとの玉へり。
J09_0169A16: 斯安らかに勸誘するこそ御遺誓の正意なれ。然るを
J09_0169A17: 種種の子細を存する人人は。如來の大悲。平等誓願
J09_0169B18: の慈恩を。しかとも顧りみず。誠に無慚の事なり。
J09_0169B19: 近頃予が面り。耳目に觸る處の。往生人の中に。關忠
J09_0169B20: 法子。七歳林岳智圓童女。四歳樹山了誓童子。八歳短彰童子。六歳
J09_0169B21: 信立童子。四歳慈傾童子。十一歳祐心童女。六歳夏山了淸童女。
J09_0169B22: 十三歳誓運童女。四歳此等の類は。父母親族の稱名するを
J09_0169B23: 自然と聞訓ひ。わづか十返二十返の日課を相續して
J09_0169B24: 現證あらたなる往生し侍りぬ。斯等は各別に安心の
J09_0169B25: 憶得もなく。厭欣の思慮あるにしも非ず。唱る聲本
J09_0169B26: 願に順ずる故に。佛力不可思議の妙術の致す所なら
J09_0169B27: ん乎。將宿習熏發。果遂の本願に乘ずる人にもやあら
J09_0169B28: ん。荀子に蓬生麻中不扶而直と云へり。善友に順
J09_0169B29: へば。麻中の蓬の。麻につれて直きが如く。今大師
J09_0169B30: 所勸の本意も亦爾り。稱名本願の直く質なる麻の中
J09_0169B31: に。極惡凡夫の。邪曲たる蓬を植れば。機の善惡。
J09_0169B32: 信の有無を云はず。唯南無阿彌陀佛と申せば。その
J09_0169B33: まま本願に引立られて。念佛の聲即决定の業なる事。
J09_0169B34: 掌を指が如くなるもの。此敎の興る所以んのみ。敎

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