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J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0167A01: ふるらん輩は。一向稱名に安心决定しなん。さてこ
J09_0167A02: そたやすく。報土に往生はすべし。豈きかずや一文
J09_0167A03: 不通の。老若男女幼稚の類を簡ばす。唯この名號を
J09_0167A04: 唱ふる輩は菩薩聖衆の來迎を拜がみ異香紫雲の瑞相
J09_0167A05: をあらはし。時をつげ日を指して往生するもの其數
J09_0167A06: をしらず三國の往生傳に載る處。幾許なり。其のせ
J09_0167A07: ずして口實に傳ふるものも。亦其數稱り難し。ああ
J09_0167A08: 貴ひ哉。口稱名號の本願。憑もしき哉。願王無縁の
J09_0167A09: 大悲。唯り濁末の劣機に慇重なる事や。是この一紙
J09_0167A10: は生死の患關を超るの要券涅槃の樂岸に到るの船筏
J09_0167A11: なる者也。是を以て古へより智者はこれを尊み。顯
J09_0167A12: 密の修行をさしをきて。但信稱名し。愚者は是を悅
J09_0167A13: び。逗機の易行にとり付て。一向念佛す。さるは智
J09_0167A14: 愚ひとしく入り。善惡同く導く。豈大慈大悲より興
J09_0167A15: れる。平等一味の設敎に非ずや。乘願上人の云。或
J09_0167A16: 人問ていはく。色想觀は觀經の説なり。たとひ稱名
J09_0167A17: の行人なり。たとひ稱名の行人なりといふとも。こ
J09_0167B18: れは觀すべく候かいかん。上人答ての給はく。源空
J09_0167B19: もはじめはさるいたずらごとをしたりき。今はしか
J09_0167B20: らす但信稱名なりと。又三井寺の住心房の。夢の中
J09_0167B21: にとはれしにも。念佛は風情もなく。ただ申より外
J09_0167B22: のことはなしと。示し玉へりとそ。とかく此一枚起請
J09_0167B23: 文の起る所は。觀念義解の之乎者也なく。ただ南無
J09_0167B24: 阿彌陀佛と申せば决定必定往生するぞとの。終窮無
J09_0167B25: 極の。大慈大悲より。事起りたる敎へなれば。少し
J09_0167B26: にても生賢く。子細がましき事を。取沙汰すれは。
J09_0167B27: 即ち敎意に背くぞと。此文を談ぜん人は。よく此道
J09_0167B28: 理を心得べき事也。さればとて佛像を拜瞻すな戒法
J09_0167B29: を護法すな抔云んとには非ず。念佛の機は。生得の
J09_0167B30: 儘なれば。とかくに機を調べからず。既に戒たもて
J09_0167B31: と敎へざれは。况やもたざれとも云はず。又諸諸の
J09_0167B32: 德本をつとめよと云はざれば。まして積ざれとも制
J09_0167B33: せず。此意を汲ぬれば。邪溪に墮る怖れなく。直に
J09_0167B34: 本願に叶ふ行者ならんかし。兎ても角ても。一紙敎

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