浄土宗全書を検索する
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巻_頁段行 | 本文 |
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J09_0163A01: | 凡夫を淨土に生れしむるにあり・然して鎭西上人・ |
J09_0163A02: | 獨り承繼に任たり・故に月輪殿下の請に由て・選擇 |
J09_0163A03: | 集を編玉ひし時も時日を移さずして・汝は此法を弘 |
J09_0163A04: | 通すべきに堪たりとて・即ち授與し玉へり・これみ |
J09_0163A05: | な末の世を照させ玉ふ・明智の御仕業なり・世間に |
J09_0163A06: | もさるためしなきに非ず・昔し張良と云ふ富る者あ |
J09_0163A07: | り・一女に婿を取て夫婦となし・家財を讓り與ふ・ |
J09_0163A08: | 後に一男子を生ず・名を一飛と云ふ・此子四歳の時・ |
J09_0163A09: | 張良病に臥て死せんとす・時に婿を呼て告語て云く・ |
J09_0163A10: | 我財寳ことことく汝等夫婦に與ふ・自來自由にせよ・ |
J09_0163A11: | 妾と一飛との二人は・餓死なさざるやうに養ふべし |
J09_0163A12: | と・讓り狀を與へて曰・張一非吾子也家財盡與吾 |
J09_0163A13: | 婿外人不得爭奪と書を與へて死す・年を經て一 |
J09_0163A14: | 飛成長して・家督を望めども・婿あへて聽さず・一 |
J09_0163A15: | 飛せん方なく・公儀へ訟ふ・奉行婿を召して問るれ |
J09_0163A16: | ば・即ち證文を指上たり・奉行一决せず・先二人共 |
J09_0163A17: | に歸らしめ・重て双方召して申さるるには・讓り狀の |
J09_0163B18: | 句逗不可なり・今更め讀て曰・張一非吾子也家財盡 |
J09_0163B19: | 與吾婿外人不得爭奪・汝が父は明智なり・詭て飛 |
J09_0163B20: | を非に書事は・汝が身に害を爲さん事を慮る故なり・ |
J09_0163B21: | 婿は外人なり・家督すべからずと・是に依て妾が子 |
J09_0163B22: | 一飛・家を續事を得たり・時の人快と稱せざるはな |
J09_0163B23: | しと・張良を圓光大師に比す・妾か子を・末代の專修口稱の行者に喩ふ・婿は背宗背師異流他派の輩らに喩ふ・讓り證文を一枚起 |
J09_0163B24: | 請文に喩ふ・奉行を淨土宗の善知識にたとふるなり今此御遺誓も亦爾り・平日に |
J09_0163B25: | 授け置玉へる法語を最期に臨て・御遺訓とし玉ふ事 |
J09_0163B26: | は・豈未來の擾亂を鑒み玉へる・明智に非すや・誠 |
J09_0163B27: | に此御遺訓は・末世の我等當座道塲の・家督の讓り |
J09_0163B28: | 狀也・若夫淨宗の知識たらん奉行句逗を惡しく讀な |
J09_0163B29: | し玉ふ・あしくよみなすとは・今此御遺訓をすてて・祈禱二世安樂等の・すすめをなすを云ふ・ものなら |
J09_0163B30: | ば・末代の人人は・悉く多生流轉の孤と成り・魔 |
J09_0163B31: | 王譜代の奴と成りぬべし・此奉行のさばき惡かりせ |
J09_0163B32: | ば・我等何ぞ廓然大悟・即得無生の・家督を得んや・ |
J09_0163B33: | 前に謂る人之所爲人者言也人而不能言者何以爲 |
J09_0163B34: | 人糓梁傳此語は人の人たる事は・言に依て也・もの云 |