ウィンドウを閉じる

J1360 一枚起請文梗概聞書 関通 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0158A01: ことなりと信じとるべきなり・念佛を信ぜん人は・た
J09_0158A02: とひ一代の御のりをよくよく學しきはめたる人なり
J09_0158A03: とも・文字一もしらめ愚癡鈍根の不覺の身になりて
J09_0158A04: 尼入道の無智のともがらに・わか身をおなじくなし
J09_0158A05: て・智者のふるまひをせすして・ただ一向に南無あ
J09_0158A06: みた佛と申てぞ・かなはんず已上文面には少異あれと
J09_0158A07: も・其義意は現流の一枚起請と異ならず・是はこれ
J09_0158A08: 大師康存の日・曾て鎭西上人へ授け玉へる法語なり
J09_0158A09: しを・末期に臨て・御誓言を書加へさせ玉へり・獅谷の諺
J09_0158A10: 論に見へたり或説に・此一枚起請文は・賀茂大明神の爲に書
J09_0158A11: せ玉ふと云へり・そのいはれなきにしも非ず・勢觀
J09_0158A12: 上人の傳の末に・上人御入滅の後は・賀茂のほとり
J09_0158A13: ささき野といふ所にすみ給ひけり・その由來は上人
J09_0158A14: の御病中に・いづくよりともなく・車をよすることあ
J09_0158A15: りけり・貴女車よりおりて上人に謁し給ふ・おりふ
J09_0158A16: し看病の僧衆・あるひはあからさまに立いで・ある
J09_0158A17: ひは休息などして・たた勢觀房一人・障子の外にて
J09_0158B18: きき給ひけれは・女房の聲にて・いましばしとこそ
J09_0158B19: 思ひ給ふるに・御往生ちかづきて侍らんこそ・無下
J09_0158B20: に心ほそくこそ侍れ・さても念佛の法門など・御往
J09_0158B21: 生ののちは・たれにか申をかれ侍らんと申さるれば
J09_0158B22: 上人答へ給はく・源空が所存は・選擇集にのせ侍る
J09_0158B23: これにたがはず申さんものぞ・源空が義をつたへた
J09_0158B24: るにて侍るべきと・云云そののちしばし御物語ありて
J09_0158B25: かへり給ふ・その氣色ただ人とも覺えざりけり・さる
J09_0158B26: ほどに僧衆などかへりまいれりけれは・勢觀房あ
J09_0158B27: りつる車の行衛おぼつかなく覺えて・をひつきて見
J09_0158B28: いれんとし給ふに・河原へ車をやり出して・北をさ
J09_0158B29: してゆくが・かきけすやうに見えずなりにけり・
J09_0158B30: あやしきことかぎりなし・かへりて上人に・客人の貴
J09_0158B31: 女・誰人にか侍らんと・たづね申されけれは・あれ
J09_0158B32: こそ韋提希夫人よ・賀茂の邊りにおはしますなりと
J09_0158B33: 仰られたりと・此説などを事まぎらはしく取なして
J09_0158B34: 賀茂の明神へ授け玉ふ・一枚起請文なりと・附會の

ウィンドウを閉じる