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J1340 一枚起請但信鈔 隆長 画像

続浄の割書は、青字で小さく表示。

巻_頁段行 本文
J09_0097A01: 又は得難き身をいかにせん
J09_0097A02: 西行法師は・こりずやたれも亦しづむべきとよめり・
J09_0097A03: 時も亦得がたうして・失ひやすし・安樂集に・引淨
J09_0097A04: 度菩薩經云・人間五十年夜消其半・幾時修道業・
J09_0097A05: 鶴林玉露には・夜不寢・一月得四十五日・と書け
J09_0097A06: り・躬恒が歌に
J09_0097A07: かくばかりおしと思ふ夜を徒に
J09_0097A08: ねて明すらん人さへぞうき
J09_0097A09: 無常迅速也・三惡の火坑足下にあり・空しく月日を送
J09_0097A10: るべらず・常に能く念佛して・速に安養に生ぜん事
J09_0097A11: を思ふべし・極樂には・無四時春秋冬夏・不寒不熱
J09_0097A12: 無有衆苦・但受諸樂・往生論に云・永離心身惱
J09_0097A13: 受樂常無間・又云・衆生所願樂・一切能滿足・云
J09_0097A14: 云・彼の國は樹林垂瓔風塵雅曲あり心を洗ふ甘露水
J09_0097A15: 目を悅ばしむる妙華雲畵工も寫し得べからず・任使
J09_0097A16: 詩歌の堪能也とも爭でか詞にいひあらはすべき・佛
J09_0097A17: すら説盡すべからずと宣へり・善導大師の曰・如此
J09_0097B18: 逍遙快樂處・更貪何事・不求生・云云・其の求め
J09_0097B19: ざる所以を尋ねば・唯目の前の花鳥の・色音に移り
J09_0097B20: て・紛れ暮す也・古の人は棄てし所なきにあらず・樂
J09_0097B21: 天酒悲の人となれり・此の翁晩年經を看福を作す事
J09_0097B22: を息めて唯阿彌陀を念ず・西行亦號圓位か歌に
J09_0097B23: 散るを見てかへる心や櫻花
J09_0097B24: 昔にかはるしるしなるらん
J09_0097B25: 後京極攝政・檀波羅蜜の心をよみ給へる歌に・
J09_0097B26: 恨むなよ月と花とを詠めても
J09_0097B27: 惜む心は思ひすててき
J09_0097B28: 月にもあれ花にもあれ・六十餘回見れども未た飽か
J09_0097B29: ずなどどといひて貪之至死は・向阿の言の如くあ
J09_0097B30: まりにうたてき迷ひざま也・麤弊の色聲に耽著して・
J09_0097B31: 往生の一大事を忘るべからず・
J09_0097B32: 又往生に於て疑心を生ずる事勿れ・念佛往生の事は・
J09_0097B33: 諸佛の證誠あり・文は彌陀經に出て・義は觀經無量
J09_0097B34: 壽經に通ず・證誠ある經は・涅槃の會に釋通なし・

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